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中野 正貴 写真展「Pathos」

公開日:2024年6月20日

本展は、写真家 中野正貴氏の写真展です。写真展タイトル「Pathos」(パトス)は、ギリシャ語で情熱や欲情、情念、哀愁などの快楽や苦痛を伴った感情状態を意味します。展示の二つの柱となるのは、キューバと香港の2000年前後に撮影された作品です。新しい世紀に突入する希望と不安が交差していた時代、そのはざまに揺れ動きながらも、強く生き抜いていこうとする人びとの生命力に魅せられた中野氏。作品には海外が映っていますが、日本と比較すると見えてくるものがあるかもしれません。
作品は、すべてキヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントし展示します。

開催日程 会場
2024年8月2日(金)~9月24日(火)
10時00分~17時30分(日曜日・祝日・8/11~8/18 休館)
キヤノンギャラリー S(品川)

写真展紹介動画

中野正貴氏ご自身によるギャラリー内を紹介する動画です。
是非ご覧ください。

ギャラリートーク

日時
2024年8月31日(土)17時45分~18時45分(ギャラリー閉館後の実施)
会場
キヤノンギャラリー S (住所:東京都港区港2-16-6 キヤノン S タワー 1F)
定員
30名(先着申込順、参加費無料)

作家メッセージ

写真展タイトルの Pathos(パトス)とは、ギリシャ語で情熱、欲情、情念、哀愁など快楽や苦痛を伴った能動的な感情状態を意味する。展示の2つの柱となっているのはキューバと香港だが、いづれも2000年前後に撮影したもので、新しい世紀に突入する希望と不安が交差する心揺れる時代であった。キューバでは経済的には決して裕福ではない状況下にありながらも、音楽と踊りに熱狂することで辛い状況を払拭し、元来のラテン気質も相まって日々を陽気に過ごす人々の屈託のない笑顔に心惹かれた。
香港では、イギリス領から中国へと主権が返還される瞬間に立ち会った写真も展示してあるが、まさしく時代の移り変わりに翻弄される若者達の表情の中に、不安を感じながらも強く生き抜こうとする強い意志を感じた。中国、韓国、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピンなどの東アジア諸国の写真も、其々の国の歴史に照らし合わせてみれば、様々な感情が見え隠れする。美しい自然に囲まれたニューカレドニアの風景には、先住民族の想いやフランス領としての影響を読み解くことができるし、今は平和なグァムの海岸風景にも第二次世界大戦時の占領地であり戦地であったことに想いを馳せれば、どこか切ない感情も芽生えてくる。海外に足を運びその地に立てば、その国々の地理的状況による他国との結び付きや因縁等を明確に知る事ができるが、やはりどの時代のどの国においても歴史はある特定の人々の感情の趣きによって動かされてきたという史実も明らかになる。
喜び、恐れ、怒り、悲しみという人間の根本的な感情がその国の風土と化学反応を起こすように融合して独自の文化を生み出し国を形成する。人間は感情をコントロールすることで困難な状況にも対応できる術を身に付け生きているが、歴史を動かす力の大きさは、その国の人々が持つ精神力と情熱の量に比例する。人間の放つエネルギーは素晴らしい。

作家プロフィール

中野 正貴 (なかの まさたか)

1955年 福岡県生まれ、翌56年より東京在住。
1979年 武蔵野美術大学造形学部 視覚伝達デザイン学科卒業。
写真家 秋元茂に師事、1980年 独立。雑誌表紙、各種広告撮影を手掛ける。
2001年 写真集「TOKYO NOBODY」で日本写真協会賞新人賞を受賞。
2005年 写真集「東京窓景」で第30回木村伊兵衛写真賞を受賞。
2008年「MY LOST AMERICA」でさがみはら写真賞を受賞。
2019年 東京都写真美術館で大型写真展「東京」を開催。
2021年 第37回写真の町東川賞 飛彈野数右衛門賞を受賞。
2024年夏 写真集「TOKYO EYE WALKING」をリトルモアより刊行予定。

著作権について

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