EOS R5×RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM レビュー 「鉄道風景」を撮影してみた
公開日:2021年10月7日
最終更新日:2021年12月9日
鉄道風景、迫力の車両、流し撮り。全て撮りきれる超望遠ズームに惚れ直した。
写真を愛するレビュワーの皆さんが、キヤノンの「EOS Rシステム」で撮り下ろし! EOS RシリーズやRFレンズを使った率直な感想を語ります。今回は、鉄道風景写真を撮影している征矢野毅彦さんが、愛用中のEOS R5とRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMをレビューします。
500mmで大胆な「引き寄せ」「切りとり」の表現が楽しめる。
一眼レフ時代はEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMを愛用していましたが、ミラーレスのEOS RシステムになってRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMを購入。TELE端プラス100mmは大きな違いです。それでいて約200gも軽量化。機動力がアップしました。エクステンダーなしで超望遠の世界が広がります。
今回撮影した実感では、EOS R5のサーボAFにより猛スピードで迫ってくる新幹線であろうと確実に追尾。メカシャッターで最高約12コマ/秒の高速連写ですが、全コマ、ピンボケなしで撮りきれました。
EOS R5とRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMを組み合わせると面白いのがクロップ撮影です。フルサイズからAPS-Cの画角(1.6倍)にクロップすることで手軽に超望遠効果が得られる機能ですが、有効画素数約4500万画素のEOS R5なら画素数の低下は気になりません。クロップ後の画素数は約1700万画素となりますが、A3プリントでも問題を感じないクオリティーです。超望遠の圧縮効果により車両の背景を大胆に引き寄せる表現ができます。
福島県の会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶ只見線。四季を通じてさまざまな表情を見せてくれるこの路線に惚れ込み、撮りためた作品で個展を開催したこともあります。春と秋が美しい場所は日本にいくらでもありますが、只見線沿線は真夏や初冬も素晴らしい。夏の川霧、冬は雪、新緑の風景も見事です。
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMのTELE端500mmで、順調に生育中の稲の緑色が映える風景を撮影しました。鉄道風景写真では超望遠で雄大な大地を大胆に切りとる手法も有効です。
列車まで数kmの距離がありますが、拡大すると車内の乗客の様子までしっかりわかる解像度に驚きました。本来は田植え前、水鏡となった田んぼが逆光に輝く絶景をねらいたいスポット。春になったら再訪してRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMで再撮影してみたいですね。
中望遠域こそ魅力。本物の実力を備えた「使える!」ズーム。
TELE端500mmの超望遠ばかりに注目が集まりがちなRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMですが、今回のレビューで強く感じたことは、WIDE側が100mmで始まることの素晴らしさです。これがこのレンズの大きな特長であり魅力だと力説したいです。
鉄道風景を撮るときは焦点距離100~150mmの中望遠域をよく使います。いつもRF70-200mm F2.8 L IS USMを選んでしまうので気がつかなかったのですが、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは、頻繁に使う中望遠域を余裕でカバーしつつTELE側が500mmまである。この凄さですね。
鉄道風景撮影では絞りを絞り込むことが多いので、絞り開放F2.8にこだわる必要はありません。RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMだけで描写性能に妥協することなく、私がねらいたい鉄道風景のほとんどを撮りきれる。このメリットは今回の撮影で初めて認識しました。
只見川を覆う川霧の風景は、梅雨入り前から晩夏にかけて見られる現象です。立ち込めた川霧に太陽光が差し込むと黄金色の輝きが目の前に広がり、列車が走り込むタイミングをねらいます。
ここではいつも最高の描写力を期待してRF70-200mm F2.8 L IS USMを選択していました。今回はあえてRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMでねらってみたわけですが、描写のクオリティーには何ら遜色がありませんでした。強い逆光シーンでもゴーストやフレアは皆無。太陽光が差し込んで輝く川霧の描写は衝撃的でした。明るい部分の柔らかなグラデーションを見事に描写。暗部の黒ツブレはなく、木々の濃淡を見事に再現した奥行き感のある仕上がりになりました。
劇的進化!「流し撮りサポート機能」と呼べる手ブレ補正機構が凄い。
「流し撮り」で頼りになるのは手ブレ補正機構(IS)です。レンズ単体で5.0段分、ボディー内手ブレ補正を搭載したEOS R5と組み合せれば、最大6.0段分の手ブレ効果を発揮します。特に効果的なのは手ブレ補正モードの「MODE 2」です。横方向に振ったときにタテのブレを補正してくれる機能で、以前からLレンズの望遠ズームに搭載されていました。RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMではMODE 2の能力が大きな進化を遂げています。
中央線を流し撮りしたこの作品では、背景のネオン街の光がほぼ真っ直ぐに横に延びています。これがMODE 2の威力。手ブレ補正がなければ光の線が上下にブレて、波打ったようになっていたでしょう。上下ブレの補正はカメラとレンズに任せて、カメラの振り速度と列車速度のシンクロに全神経を集中可能できます。
シャッタースピードを低速にして露光しながらズーミングする「ズーム流し」(露光間ズーム)で撮ってみました。RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMのズームリングのトルクをゆるめに調整、ほぼ直角のカーブを曲がり少しずつスピード上げる都電を真正面からとらえます。
AFはサーボAFに設定。一度ピントが食いついたらもう離しません。あとは列車の迫りくる速度とズーミングのシンクロに意識を集中です。TELE端500mmの超望遠なので、はるか遠くからズーミングをスタート。じっくり撮る余裕ができるので都電の動きとズーミングがシンクロする確率が高まります。
レビューを終えて
PROFILE
約10年前から本格的に撮り始め、鉄道や飛行機撮影を中心にスナップ、ポートレートにも進出。鉄道写真家・山﨑友也氏主宰のフォトサークル「GTY」に所属し、第7回GTY写真展「ある駅からはじまる物語」(2020年9月開催)では実行委員長に就任。2021年12月7~12日開催のキヤノンフォトクラブれいるうぇいず写真展「ながれ」(Nine Gallery)にも実行委員補佐として出展。フォトコンテストへの参加にも積極的で、2021年は月刊誌「キヤノンフォトサークル」のマンスリーフォトコンや大手新聞社主催のコンテストなどに4回入選。