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【初心者向け】一眼を使ったペット写真の撮影テクニック

公開日:2017年4月3日

最終更新日:2020年10月23日

ペットの写真を撮るためにカメラを買う人も多いでしょう。自由に動き回るペットの動きを逃さずにシャッターを切ったり、陽光に包まれて気持ち良さそうに寝ているところを毛の質感まで捉えて撮影したりできるのは、カメラだからこその楽しみです。
今回は、ペット写真ビギナーのために、カメラマンの中村陽子さんによる監修のもと、ペット写真の撮り方について紹介します。

PROFILE

中村陽子

大阪市生まれ。カナダ トロント市在住中に犬と暮らし始め、そのころからペットの撮影をはじめる。有限会社ドッグファーストとスタジオD1を設立。広告を中心としてペットや子供の撮影などを手掛ける。写真教室の講師(撮り方、カメラの使い方、ペット撮影、子供撮影、テーブルフォト講座など)としてカメラ専門誌・愛犬雑誌でも活躍中。風景写真やテーブルフォトの要素をペットの撮影に取り込んだ作品が特徴。キヤノンEOS学園講師。

ペット撮影時におすすめ! カメラの設定

中村さんのようなプロと同じように撮影するために、カメラの設定はどうすればいいのかを見てみましょう。今回は「犬」を撮影する場合を想定して解説します。撮影する動物の種類によって設定は異なりますので、ご注意ください。

①カメラはAv(絞り優先)モードに設定

ペットの撮影となると、ブレが少なくなる「Tvモード(シャッター優先)」と思われるかもしれませんが、動いているペットを撮影するのは初心者には意外に難しいです。まずは、ペットがゆっくりと動いていたり、止まっていたりするシーンを撮影することから始めてみましょう。モード設定を「Avモード(絞り優先)」にすると、シャッタースピードはカメラが勝手に設定してくれます。絞り(F値)を調整して、自分の好きなボケ味を楽しみましょう。

②ドライブモードは連写モードに

「連写モード」が搭載されている機種をお持ちの方は、高速連続撮影にチャレンジしてみてください。狙ってシャッターを切るのも大事ですが、連写で何回か続けて撮影することで、ふとした一瞬の動きまで逃さずに捉えられて失敗が少なくなります。表情や動きがよいカットを後から選ぶぐらいの気持ちで、初心者のうちは数を撮りましょう。

③露出はやや明るめに

今まで人を中心に撮影してきた方は、顔認識がされて露出も自動でカメラ任せにしていたかもしれません。しかし、ペットは顔認識が効かずに暗くなりがちなので、露出を設定する必要があります。ペットの顔が暗くなってしまった場合は、設定をやや明るめにした方が可愛く撮影することができるので調整してみましょう。

まとめ

  • Av(絞り優先)モードに設定。
  • 連写モードで撮影して後から選ぶ。
  • 明るめの露出で可愛く撮影。

ペット撮影の基本

カメラを設定したらドンドン撮っていきましょう。ここでは、撮影の際に心がけたい基本について紹介します。

①ピント合わせは、カメラに近い方の目の上縁に

ポートレートのように胸上以上のアップで顔を大きく撮影するときは、目の上の縁にピントを合わせるようにしましょう。顔を大まかに選択して撮影するのではなく、しっかりカメラが認識しやすい位置にピントを合わせることが大切です。ピントの位置がずれて全体がぼんやり見えてしまう可能性があります。また、EOS R SYSTEMの機種ではカメラが瞳を認識してくれるものもあります。最初のうちはカメラにピントを任せて構図に集中するのも良いでしょう。

②ペットの「カメラ目線」を誘って撮ろう

お利口なペットでも、目線を捉えて写真に収めることは一苦労です。目線をカメラに向けさせるために、オモチャなどを使うのは有効です。特に、今まで与えたことのないものを用意する方が、ペットもより興味を示してくれます。

またカメラの設定や構図を先にすべて決めてから、撮影直前にペットの目線を誘うようにしてください。ペットの集中力は長くは持たないので、なるべく撮影に飽きさせないためです。撮影時間をなるべく短くするのがペットを上手く撮影する上で重要なポイントと言っても過言ではありません。集中させる時間を短くして、複数回で撮影を試みるのがペットを飽きさせないコツです。

あとは、しばらく何も声をかけずに静かに待っていると、自然に目線がカメラに向く場合もあったりします。ペットの名前を呼びすぎるのも飽きてしまう原因になりかねないので、ペットの様子をうかがいながら、落ち着いて撮影するようにしましょう。

③撮影は良いものだと思わせる

撮影自体を好きにさせることも大切です。撮影に慣れないうちは、1回撮れただけでもしっかり褒めてあげましょう。それを繰り返していくうちに、カメラや撮影にペットも慣れてくるので、カメラが出てきたらいいことがあるとペットも学習してくれます。逆に、どんなに言うことを聞かなくても叱ってはいけません。ペットは飼い主のことをよく見ていますので、人間がピリピリしているシグナルはすぐ伝わってしまいます。ペットが萎縮してしまってはいい表情は撮影できません。目を細めてあきてしまったという顔をしてしまうほどです。

まとめ

  • ペットの目の上縁を狙って自然なピント調節を。
  • カメラ目線を狙うためにオモチャなどを準備。
  • 決して叱らず、適宜褒めてあげて撮影を好きにさせる。

撮影に適したレンズや自然光での撮影方法、構図を考えよう

設定やペットの扱い方についてまとめてきましたが、次はレンズによる違いや、自然光をうまく生かした撮影方法について紹介していきます。中・上級者向けのレンズの違いによる撮影テクニックも見ていきましょう。

①「逆光」での撮影方法

ペットのポートレート撮影の基本は「逆光」による撮影です。毛の質感も柔らかに表現できて表情も豊かに出るので、チワワやトイプードルのような毛並みのふわふわした小型犬を可愛らしく撮影する際にはおすすめです。背景がしっかりボケて、光がキラキラした写真になるので、寄って撮影をする時には逆光を意識するといいでしょう。

また、何も設定をせずそのままシャッターを切ってしまうと、露出が明るい背景の影響を受けて、ペットの顔が暗く写ってしまう場合があります。きれいに撮るには、ペットの顔が明るく写るところまでを目安にプラス側に露出補正を行います。

②「順光」での撮影方法

風景なども含めてはっきりと撮るなら「順光」で撮影してみましょう。ラブラドールレトリバーやバーニーズマウンテンドッグなど中・大型犬の力強さを表現するのにもおすすめです。 順光で撮影すると本来の色がしっかり出て、クッキリとした写真になります。また、順光ではキャッチライト(瞳に映り込ませる光のこと)が入りやすいので、表情が生き生きして見えます。ただ、順光の難点は、顔に強い影が出やすいことです。影が強い場合はペットの顔の向きや立ち位置を考えて撮影する必要があります。

③ジャンピングドッグを撮影しよう!

あまり激しく動いていない状態を想定して説明してきましたが、元気に動き回るペットを撮影したいという方もいると思います。そんな中・上級者は「ジャンピングドッグ」を撮影してみてはいかがでしょうか。 ここでは広角レンズと望遠レンズを使った場合における、それぞれのポイントを解説していきます。

【1】広角レンズを使う場合のポイント

広角レンズを使用する場合は、ペットが何かから降りようとしている瞬間や、おやつなどを投げてペットが飛んだ瞬間を狙ってみましょう。この時、ピントが合って見える範囲が広い広角レンズ(または標準レンズのもっとも引いた画角の状態)を使い、少しのジャンプでも高く見せるためになるべくペットの目線に合わせた低い位置から撮影してみてください。そうすることで高さのあるジャンピングドッグが撮影できます。

設定はAvモードのままで、動く被写体に合わせてピントを合わせ続けてくれる「サーボAF」のモードで測距エリアの設定を「自動選択AF」にしておくとよいでしょう。ローアングルから撮影するために、バリアングル液晶やチルト液晶付きのカメラの人はそれらを有効に使ってみてください。ただし、降りさせる位置が高すぎるとペットがケガをしてしまいます。ペットの体長ぐらいの高さが限界ですので、無理をさせないように心がけてください。

【2】望遠レンズを使う場合のポイント

望遠レンズをお持ちの方は、勢いよく走り寄ってくるところを狙うとジャンピングドッグのような写真を撮ることができます。望遠レンズ特有の後ろボケも出すことができるので広角レンズで撮るのとは一味違った写真が撮れます。

まずペットに"待て(ステイ) "をさせて距離をとります。そこから呼んで駆け寄らせるのですが、このとき距離を長めに走らせるようにしてください。距離が近すぎるとペットがブレーキをかけてしまって跳んでいるように見えないからです。多少の起伏がある場所の方が、自然と何かを跳び越えてくれるので、ジャンピングドッグの撮影はしやすいと言えます。蛇行せずにまっすぐ走らせるのもポイントでしょう。

こちらも設定はAvモード、AFは「サーボAF」でローアングルから撮影しましょう。上級者は、測距エリアだけ「1点AF」に設定して、測距点を顔のあたりに構えられるようにするとワンランク上の写真になります。

④ISO の設定でシャッタースピードを調整

ISOをオートにすると、室内・室外の明るさによって、ISOが適切な設定に自動調整されます。それに合わせてシャッタースピードも変わるので初心者にはとても便利です。しかし、ISO感度が高くなりすぎると、写真の仕上がりが粗くなってしまうこともあります。そこで、ISOをマニュアルで設定する際には、シャッタースピードが1/1000ぐらいになるようにISOを設定してみてから、徐々に上げていくという手順で調整するといいでしょう。屋内で撮影される場合は、"1/(レンズのミリ数)"程度が目安です。

まとめ

  • ポートレートを可愛く撮るなら逆光。
  • 風景を鮮明に、力強さを演出するなら順光。
  • ジャンピングドッグを撮影するなら広角レンズや望遠レンズ。
  • 手動でISOを設定する場合、シャッタースピードを固定した上で環境に合わせて調整。

まとめ

設定や自然光での撮影方法などを解説してきましたが、「人もペットも一緒に楽しみながら撮ること」を忘れてはいけません。
撮影に夢中になって熱が入るのは分かりますが、長時間振り回し続けていてはペットも疲れてしまいます。遊ぶぐらいのラフな感覚を大切して、自然な仕草や表情を引き出すことでペットとの撮影を楽しんでみてください。またペットの種類によって撮影の方法を工夫してみましょう。大きい種類のペットはダイナミックに、小さい種類のペットは可愛く撮ることで良さが際立ちます。
ぜひペットとの撮影を楽しんでスキルを磨いてみてください。

EOS R8

特長1 約461gの軽量・軽快フルサイズ

クリエイティブな映像表現を実現する性能と、優れた機動性を両立。ボディー単体で約461g(バッテリー、SDカードを含む)という軽量化を実現したEOS R8。キットレンズRF24-50mm F4.5-6.3 IS STMを装着しても約671g。いつでもどこにでも持ち歩きやすいフルサイズです。

特長2 約2420万画素フルサイズCMOSセンサー

有効画素数最大約2420万画素35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載。受光面積が広く、色彩のグラデーションを鮮明に再現でき、美しく大きなボケ味が得られます。新たなシャープネス処理により、被写体のディテールを高い解像感で描写。映像エンジンDIGIC Xとの組み合わせで、高画質と高感度の両立も実現しています。

特長3 多彩な被写体に対応するトラッキング性能

優れた被写体検出機能とトラッキング性能を実現する、EOS iTR AF X。EOS R6 Mark IIで採用したトラッキングシステムのコンセプトを継承。ディープラーニング技術の活用により被写体の特徴情報を高精度に抽出。人物/動物/乗り物の動体に対して、高い検出性能とトラッキング機能を発揮します。画面全域を使って被写体を捉え続けることができるため(AF/AE追従)、撮影者は構図に集中することができます。

EOS R10

特長1 高精度なAFと高速連写で“瞬間”が残せる

高精度な被写体検出・追尾を可能にするメカニズムによって人物だけではなく動物(犬、猫、鳥)、乗り物(モータースポーツの車、バイク)の検出にも対応しています。
加えて、連写性能はメカシャッター/電子先幕時において最高約15コマ/秒を実現。動き回る小さなお子様やペットとの日常もきれいに思い出に残すことができます。

特長2 小型・軽量ボディー

バッテリーとSDカードを含めてもわずか約429gと小型・軽量ながら、ホールド感に優れたグリップや撮影構図の幅が広がるバリアングル液晶モニターを搭載。お出かけや旅行などにも気軽に持ち歩いて快適な撮影ができます。

特長3 動画撮影機能も充実

6Kオーバーサンプリングによる高画質な4K UHD 30p記録や、フルHD解像度で120pのハイフレームレート記録にも対応し、写真だけでなく動画も本格的に撮影できるカメラです。

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【初心者向け】一眼を使ったペット写真の撮影テクニック
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2017-04-03