このページの本文へ

鶴巻 育子 写真展「ALT」

本展は、写真家・鶴巻育子氏が視覚障害者との関わりをきっかけに取り組んできたプロジェクトの集大成として、「みること」について思考を巡らすことを目的とした展示です。
会場は3つのセクションにより構成されます。セクション1では、氏が視覚障害者と対話しながら彼らをモデルに撮影したポートレートを展示します。セクション2では、視覚障害者がそれぞれの見え方を「言語化」したものを氏が「写真化」するという試みのもと撮影した作品を展示します。「撮る、撮られる」から始まった氏と視覚障害者の関係性は、最後は並走する形に変化し、セクション3は両者がカメラを持ちながら街を歩き撮影した写真で構成され、自分の目で見ているものがすべてではないと気づくきっかけを与えます。セクション1から3まで、計100点を超える作品を展示します。
展示作品は、すべてキヤノンのプリンター「imagePROGRAF」でプリントし展示します。

開催日程 会場
2024年9月27日(金)~11月11日(月)
10時~17時30分(日曜・祝日休館)
キヤノンギャラリー S(品川)

作品展紹介動画

ギャラリー内の展示作品を紹介する動画です。
是非ご覧ください。

ギャラリーでの作品解説

鶴巻育子氏がギャラリー内で作品解説を行います。予約不要ですのでお気軽にご参加ください。

日時
2024年10月11日(金)14:00~
2024年10月18日(金)14:00~
2024年10月25日(金)14:00~
2024年11月1日(金)14:00~
2024年11月8日(金)14:00~
  • 各回約20分間を予定しています。

トークイベント

日時
2024年10月5日(土) 14時~15時30分
  • 13時30分受付開始
ゲスト
Poetic Scape代表・ディレクター 柿島貴志

プロフィール
Kent Institute of Art and Design(現UCA/イギリス)Visual Communication course photomedia卒。2011年より東京・中目黒にてギャラリーPOETIC SCAPEを運営。写真をキュレーションの軸に据えながら、 近年は写真以外の作品も取り扱っている。また写真作品の額装や、執筆、講演なども行う。2017年より2021年まで京都芸術大学 芸術学部 通信教育部 写真コース非常勤講師。

テーマ
「見えない、見えづらい世界」を見えるカタチに
内容
本展のキュレーションを担当したPoetic Scapeの柿島貴志氏をゲストにお迎えし、「見えない、見えづらい世界」を写真展として「見えるカタチ」にするための試行錯誤と、その過程で得た気づきについて語ります。
会場
キヤノンホール S (住所:東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー 3F)
定員
150名 (先着申込順、参加費無料)
申込
8月8日(木)10時より申込開始

ギャラリーツアー

タイトル
Alternative View ~見える人、見えない人、見えづらい人が一緒に鑑賞するギャラリーツアー~
内容
本作品のモデルにもなった視覚障害者の3名がファシリテーターとなり、見える人、見えない人、見えづらい人が一緒に”雑談”をしながら作品鑑賞をするツアーです。写真を言葉にすることで参加者同士の見え方や感じ方の違いを体験し、そこから生まれる新しい気づきを楽しみましょう。
会場
キヤノン S タワー1階 キヤノンギャラリー S(住所:東京都港区港南2-16-6)
ファシリテーターと開催日時
ファシリテーター:難波創太氏
10月9日(水)
13時~14時30分、15時30分~17時

難波創太(なんば そうた)
1968年生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン科卒業後、ゲーム制作会社に勤務。2007年仕事帰りにバイクによる交通事故に遭い失明し全盲に。現在は東京・三軒茶屋で鍼灸・指圧師のかたわら、アートと薬膳のワークショップのための店「ボディケア・キッチン るくぜん」を経営し盲導犬のピースと暮らす。

ファシリテーター:石井健介氏
10月12日(土)
11時~12時30分、14時~15時30分

石井健介(いしい けんすけ)
1979年生まれ。アパレルやインテリア業界を経てフリーランスの営業・PRとして活動していた。2016年、36歳の時に一夜にして視力を失う。ダイアログ・イン・ザ・ダークでの勤務を経て独立。現在はブラインドコミュニケーターとして、見える世界と見えない世界をポップに繋ぐためのワークショップや講演活動を行っている。TBSラジオ制作Podcast番組「ミエナイわたしの、聞けば見えてくるラジオ」パーソナリティ。


ファシリテーター:柿島光春氏
10月16日(水)
13時~14時30分、15時30分~17時

柿島光晴(かきじま みつはる)
1977年、東京都町田市出身。一般社団法人日本視覚障害者囲碁協会 代表理事。網膜色素変性症により25歳の頃失明。失われていた視覚障害者用囲碁盤(通称アイゴ)を復活させ、全国の盲学校や視覚支援学校に寄贈を開始。国内外の視覚障害者にアイゴを届けている。目が見えても見えなくても見えづらくても、誰でも囲碁でつながる世界を目指している。

定員
各回5名(先着申込順、参加費無料)
申込
8月8日(木)10時より申込開始

関連イベント

ポートフォリオレビュー

会場
キヤノン S タワー(住所:東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー内)
日時
2024年11月1日(金) 18時~20時30分
レビュアー
鶴巻育子
定員
レビュー対象者(レビュイー):5名
オーディエンス:5名
料金
レビュー対象者(レビュイー):6,000円(税込)
オーディエンス:3,000円(税込)
お申し込み・その他詳細
下記ページよりご確認ください。

作家メッセージ

目を使って仕事をする写真家の自分とは対極にある「見えない、見えづらい世界」を覗いて見たい。そんな好奇心から始まったプロジェクトの第二弾が「ALT」です。
人は情報の80~90%を視覚から得ていると言われています。取材当初、私はその情報を得ずに生きる視覚障害者の人々の苦労ばかりを想像していました。しかし個人差はあるものの晴眼者となんら変わりない彼らの生き方を目の当たりにし、また「視覚障害」と言っても個人個人異なった見え方で、簡単にカテゴライズできるものではないことを知りました。私は知らず知らずのうちに、先入観や偏見を抱いていた自分に気づきました。彼らと会い対話する時、言葉が最も重要なツールとなります。そこではミスコミュニケーションが生じることもあり、言葉でのやり取りにおける難しさを実感せざるを得ませんでした。しかし当然ですが、それは相手が晴眼者であっても起こり得るものです。私は他者との認識のズレに違和感を抱くより、まずは自分の知らない領域に一歩足を踏み入れてみることを優先しました。すると、私ひとりでは辿り着けなかった気づきやアイディアが浮かび、新しい世界が見えた気がしました。
約4年の間に多くの視覚障害者の人々と時間を共有した中で最も興味深かったのは、彼らが頻繁に「みる」という言葉を口にすることでした。私は改めて見ることの意味を考えるようになり、いかに自分の視野が狭いかを思い知る体験をしたのです。目で見ることが全てではない。感じることは見ること。見ることとは何か。
「視覚障害者に興味を持ってくれるのが嬉しい」「面白い形で自分たちの世界を表現してもらいたい」など彼らの言葉が支えとなり、この作品を完成することができました。

ALTとは

alternateの略
代わりのもの、代替え、交互の、他の可能性、他の手段
X(旧Twitter)では「+ALT」ボタンは代替えテキストの略称で、画像の説明を示す用語として使われています。

展示予定の作品

セクション1より

セクション2より

作家プロフィール

鶴巻 育子 (つるまき いくこ)

1972年東京生まれ。写真家。1997年の1年間渡英し、語学を学ぶ。帰国後、周囲の勧めで写真を学び始めた。カメラ雑誌の執筆や写真講師など幅広く活動する一方、2019年に東京・目黒に写真ギャラリー「Jam Photo Gallery」を開設し、著名写真家の企画展や若い写真家への場の提供、アマチュアの育成にも力を注いでいる。国内外のストリートスナップで作品を発表しながら、視覚障害者の人々を取材し「みること」をテーマとした作品にも取り組んでいる。主な個展は「芝生のイルカ」(2022年/ふげん社)、「PERFECT DAY」(2020年/キヤノンギャラリー銀座・梅田)、「3[サン]」(2015年/表参道スパイラルガーデン)など。主なグループ展に「icon CONTEMPORARY PHOTOGRAPHY II」(2022年/AXIS Gallery)やアルファロメオ企画展「La meccanica della emozioni」(2017年/寺田倉庫)などがある。

著作権について

当写真展関連ページに掲載されている写真の著作権は作者に帰属します。
これらのコンテンツについて、権利者の許可なく複製、転用などする事は法律で禁止されています。