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第九のきせき2024 "Visible An die Freude"2024 White Hands Chorus NIPPON & Mariko Tagashira

公開日:2024年8月6日

本展は、ホワイトハンドコーラスNIPPONと写真家 田頭真理子氏のコラボレーションによる写真展です。
ホワイトハンドコーラスNIPPONは、ろう者、難聴、全盲、弱視、車いすユーザーなど、多様な背景や特徴を持つ子どもたちが所属しているインクルーシブな合唱団です。手話の表現で歌う(手歌)サイン隊と、声で歌う声隊がともに音楽を奏で、サイン隊が白い手袋をして歌の世界を表現することから、ホワイトハンドコーラスの名前がついています。
本展では、光るライトを入れた手袋を着用したホワイトハンドコーラスNIPPONのメンバーが、手歌でベートーヴェンの交響曲第九番の「An Die Freude(歓喜の歌)」を表現し、写真家の田頭真理子氏がその光の軌跡を撮影した作品を展示します。「音楽は聞こえないと楽しめない」という概念を壊す写真展となっています。
田頭氏とホワイトハンドコーラスNIPPONの芸術監督を務める声楽家のコロンえりか氏が、「触れる写真」など、視覚以外でも第九を楽しんでもらえるような展示をプランニング。キヤノンプロダクションプリンティング(オランダ)が制作に協力した「触って分かる写真」も国内で初めて展示し、手の動きの軌跡を隆起印刷で表現することで、視覚に障がいがある人もない人も、インクルーシブに写真を鑑賞できます。
作品はキヤノンのプリンター「image PPOGRAF」でプリントし、展示します。

開催日程 会場
2024年9月4日(水)~10月9日(水)
10時~17時30分(日曜・祝日休館)
キヤノンオープンギャラリー1(品川)

トークイベントのご案内

田頭真理子氏とホワイトハンドコーラスのNIPPONの芸術監督コロンえりかおよびコーラスメンバーみさき、さらに以前のフォトセッションに参加され、今回の展示作品にも登場されているデフアスリートの棒高跳び 佐藤湊選手をゲストにお迎えしてトークイベントを開催。
イベントの様子は同時にLIVE配信およびアーカイヴ配信する予定です。

作者メッセージ

「第九のきせき」は、ベートーヴェンの交響曲第九番の「歓喜の歌」(以下「第九」)を合唱と共に手話で歌うライブパフォーマンスと、音楽を可視化した写真によって生み出された、今までにない体験型のインクルーシブ(包摂的)アートです。
ホワイトハンドコーラスNIPPONの芸術監督コロンえりか(声楽家)とろう者のメンバーは、手話で対話を重ねながら「第九」の歌詞を「手」で歌う「手歌」に訳しました。彼らのエネルギー溢れる表現を写真でどう捉えようかと模索していたある日、子どもが稽古中に天に向かって弧を描く手の先に光るものを見出し、そのインスピレーションを光の軌跡として写真におさめました。これらの作品の発表は、コンサートや写真展示に終わることなく、ワークショップ、参加型のフォトセッションなどを通して来場者とともに創るインタラクティブなアート表現に発展しています。本展覧会では、オランダにあるCanon Production Printing Holding B.V.の協力によって制作された触れる写真「FUGA」も本邦初公開されます。

作者プロフィール

田頭真理子(たがしらまりこ)/写真家

写真家。広島県尾道市出身。写真家立木義浩氏と出会い写真家を志す。
郵船クルーズの客船「飛鳥」専属カメラマンを経験したのち、東京工芸大学写真学科入学。2006年独立。これまで日本郵便、サントリーなど広告写真だけでなく、「音楽の友」表紙撮影や研究者、経営者、政治家のポートレートなど人物に迫る作品が多い。2017年に「ホワイトハンドコーラス」と出会いこどもたちとの関わりの中で得たインスピレーションによって「第九のきせき」の制作を開始。2021年11月東京芸術劇場、2022年4〜5月ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」、2024年2〜3月WESTLICHT SCHAUPLATZ FÜR FOTOGRAFIE(オーストリア・ウィーン)にて展示。第1回SDGs岩佐賞受賞。

コロンえりか(ころんえりか)/声楽家

ベネズエラ出身のソプラノ歌手。聖心女子大学·大学院で教育学を学んだ後、英国王立音楽院、声楽科修士課程を優秀 賞で卒業し同年ウイグモアホールでデビュー。
イタリア、フランス、イギリス、日本を拠点にオペラ出演やコンサート活動を行っている。
2017年よりホワイトハンドコーラスの芸術監督として耳の聞こえない子どもを含む、様々な障害を持つ子どもたちに音楽を教えている。
一般社団法人El Sistema Connectの代表理事。駐日ベネズエラ大使夫人。

ホワイトハンドコーラスNIPPONについて

ホワイトハンドコーラスNIPPONはすべての子どもに開かれているインクルーシブ合唱団。ろう者、難聴、全盲、弱視、車いすユーザーなど、多様なメンバーが所属している。南米ベネズエラで始まった平等に音楽教育を受けることができる音楽の社会活動「エルシステマ」の理念に共感して設立。障がいの有無に関わらず、また経済的な状況に関わらず、誰もが無料で参加し、学ぶことができる。指導は芸術監督であるコロンえりか(ソプラノ歌手)と井崎哲也(ろう者劇団特別顧問)をはじめとした現役で活動するプロの音楽家、俳優、パフォーマーが行っている。
これまで、2021年新国立劇場新作オペラ『Super Angels』、NHKみんなのうた《ツバメ》、バッハ・コレギウム・ジャパンとの共演や、沖縄国民文化祭などに出演。
2024年2月にはウィーンの財団「ZERO PROJECT」の招聘を受けオーストリア国会議事堂、国連ウィーン事務局での「ZeroCon24」特別公演に出演。「KIDS DESIGN賞(子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門)」、バリアフリーの国際賞「ゼロ・プロジェクト・アワード2024」などを受賞。

著作権について

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