SHINES企画展:王 露写真展「Frozen are the Winds of Time」
公開日:2022年10月29日
最終更新日:2023年10月8日
本展はキヤノンMJが開催している写真家オーディション「SHINES(シャインズ)」の第2回入選者である王露(オウ ロ)氏による写真展です。
王氏は、自身の家族や故郷にレンズを向けることで、子どもの頃からずっと避けていた現実を突きつけられたような気がし、これまで避けていたすべてのものに積極的に接近するようになったと話します。本展では、交通事故により不治の障害を負った父、娘にカメラを向けられ意識する母など家族を写した作品、また都市化が加速する環境から取り残された人々といった故郷を切り取った作品を約35点展示します。
展示作品は、すべて最新のキヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントし展示します。
開催日程 | 会場 |
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2022年10月29日(土)~12月1日(木) ※ 来場される際はご来場のお客さまへのお願いをご確認ください。 10時~17時30分
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キヤノンオープンギャラリー1(品川) |
作家メッセージ
故郷に暮す父は、私が12歳の時、事故により脳に不治の障害を負った。それ以来、彼の世界は時間の感覚を失った。私が毎年正月に帰省しても、父はよく私のことを他人だと間違えるようになった。
私の故郷は山西省太原市で、第二次産業と第三次産業の中間に位置する都市である。9年前に新市長が就任して大規模な都市計画が始まり、高層ビルや高架橋、商業施設などがたくさん建てられたため、私の記憶に存在する場所の多くは消えてしまい、自分の家も高層ビルに移った。見知らぬ街、見知らぬ道、見知らぬ家・・・帰国するたびに異国の地にいるような気分になった。
それに反して、故郷に暮らす人々の話し方や服装などは十数年前とは変わらず、その様子は都市とは対照的である。父の意識の中で、私は未だ、そして永遠に故郷の小学校に通っている。しかし、現実の私は、彼の世界とはパラレルな世界で生きている。私はもう、本当に彼にとっての「他人」なのかもしれない。
父と故郷を撮影することで、子供の頃からずっと逃げていた現実に直面した。現実の世界とは異なる時間を生きる父も、都市化が加速する環境から取り残された人々も同じなのかもしれない。
時間の風は吹き続けていたけれど、そのまま何も変わっていなかった。
プロフィール
王 露(Wang Lu)
1989年中国山西省生まれ。
武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業。
東京藝術大学美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。
普段見過ごしている時間、記憶、日常生活などを写真メディアにより可視化し、現実世界を描写したり架空のストーリーを創作したりしている。
受賞
- 2022
- The British Journal of Photography ‘Ones to Watch’
- 2022
- Athens Photo Festival Shortlist
- 2022
- KG+SELECT Awards 入選
- 2021
- Portrait of Japan 入賞
- 2020
- LensCulture Critics' Choice 2020 Awards
- 2020
- Reminders Photography Stronghold 「COVID-19パンデミック」公募展 最優秀賞
- 2019
- 第二回SHINES 写真オーディション受賞
- 2019
- キヤノン写真新世紀 佳作受賞
- 2019
- 第20回1wall写真 ファイナリスト
個展
- 2022
- 「Frozen are the Winds of Time」キヤノンオープンギャラリー1、東京
- 2022
-
「神明ノ花火」さんさき坂カフェ、東京
- 2022
- 「家」くろちく万蔵ビル、京都
- 2022
- 「Frozen are the Winds of Time」オンライン、デンマーク
- 2021
- 「Frozen are the Winds of Time」ふげん社、東京
- 2020
- 「いまここ、いまあそこ」Reminders Photography Stronghold、東京
出版
- 2021
- 「Frozen are the Winds of Time」
- 2020
- 「いまここ、いまあそこ」
SHINESとは
“SHINES(シャインズ)”は、「写真家」のオーディションです。写真家には、写真の技術やセンスに加えて、熱意や衝動、あくなき好奇心や探究心がこれまで以上に必要とされています。今までに「何をどう撮ったか」だけでなく、これから「何をどう撮るか」についてプレゼンテーションを実施します。さまざまなジャンルで活躍されている選考委員が各々一人を選出し、選ばれた方は自身の写真集を作成、SHINESはそれをサポートしています。完成した写真集は代官山 蔦屋書店にて展示・販売します。
なぜ「SHINES(シャインズ)」?
「輝く(SHINE)」才能を見つける、輝いた人たち=SHINESを見つけたい、という想いから生まれたプロジェクトです。また海外の有名なことわざ「make hay while the sun shines(好機を逃すな)」を発展させ「若いうちにチャンスをつかめ」という意味も込められています。
著作権について
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