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東京写真月間 2024 コンドウ ダイスケ 写真展「マタギの鉛筆」

公開日:2024年4月9日

本展は秋田県出身・在住の写真家 コンドウダイスケ氏による写真展です。東京写真月間実行委員会が主催する「東京写真月間2024」の国内企画展「写真の力で伝えようSDGs」の一環として開催します。
コンドウ氏は2022 年に、日本の野山に自生する植物を撮影してデータ化し、そのデータ化した植物(=iPlants(information Plants))を用いてスマホケースなどの商品を生み出す「iPlantsプロジェクト」を立ち上げました。本プロジェクトは、集団でクマなどの狩猟を行う「マタギ」の発祥の地である秋田県阿仁地区で、阿仁マタギとして活動する益田光氏と共同で立ち上げた活動です。これはマタギの新たな生業を創るという挑戦でもあり、植物をアーカイブするという目的も持ち合わせています。
コンドウ氏はプロジェクトの皮切りとして、阿仁マタギにとって神聖な山であり、花の百名山に選ばれるほど豊かな植生がある秋田県の森吉山(もりよしざん)を舞台に選びました。森吉山は植物の採集が原則禁じられているため、コンドウ氏は大きなLEDパネルなど撮影機材を自ら持参して登山し、植物の前でスタジオを組んで撮影に臨みました。
本展では、森吉山に生きる植物の生命力、そしてマタギの新しい生き方を表現した植物のポートレート20点を展示します。単なる風景写真ではなく、アーカイブとして撮影された森吉山の生態系をお楽しみください。
展示作品は、すべてキヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントし展示します。

開催日程 会場
2024年5月17日(金)~6月17日(月)
10時~17時30分(日曜・祝日休館)
キヤノンオープンギャラリー1(品川)

メッセージ

2022年より、阿仁マタギの益田光氏と共同で「iPlants(information Plants) プロジェクト」を立ち上げた。これは“マタギによる新たな山の恵みの形を探る”試みである。
はじまりは益田氏の抱えるジレンマだった。彼は、主に東北地方の山村地域で暮らしながら、独自の宗教観や規則を持つ狩猟集団であるマタギの生き方に惹かれ、2019年に秋田県北秋田市阿仁地区へ移住した。マタギ発祥の地とされている阿仁地区に生きるマタギたちは阿仁マタギと呼ばれる。マタギは「山の神」を信仰していて、狩猟鳥獣や山菜など、山の恵みはすべて山の神からの「授かり物」と考える。四方の山々を正確に把握し、四季を通して山の恵みを授かりながら生きる山の民である。
益田氏はマタギとしてクマを追う一方、大学で学んだ森林科学を活かして野生の植物を商品化する事業を手掛けている。そこで事業を成長させるには、より多くの植物を採取しなければならないという壁にあたった。山の恵みを授かりつつ、山の資源を損なわない方法はないか。行きついた答えは「現実の植物と非現実の植物を分ける」ことだった。こうして「iPlantsプロジェクト」が立ち上がった。
プロジェクトの始まりは、阿仁マタギのホームグラウンドである森吉山で行った。森吉山を風景としてではなく、植物のアーカイブとして撮影する。それが我々のミッションだった。だが、森吉山一帯は県立自然公園に指定されており、植物の採集が原則禁じられている。植物を採集せずに撮影するために、現地まで巨大なLEDパネルを持って登り、そこでスタジオを組んで撮影するという手段をとった。里山エリアの植物については採集して撮影を行っているものもあるが、森吉山の高山帯に自生する植物については植物体を傷つけない方法で撮影している。
本展はそれらの過程で撮影した植物のデータを、写真展という形で再編集し直したものである。
これらの植物のポートレートを通して、森吉山に生きる植物、そしてマタギの新しい生き方について思いをはせて頂ければ幸甚である。

作家プロフィール

コンドウ ダイスケ

1983年秋田県北秋田市生まれ。
舞台写真家に憧れ、舞台制作から写真の道へ。
2015年に写真家として活動を開始し、2020年には秋田県北秋田市に拠点を置く撮影会社「アキテッジ株式会社」を設立。
北東北各地の企業や自治体の広告に関わる写真・映像を多く手がける。
公益社団法人 日本写真協会〈PSJ〉会員。
一般社団法人 日本旅行写真家協会〈JTPA〉会員。

東京写真月間について

「東京写真月間」(The Month of Photography, Tokyo)は、写真文化の普及と発展を図るために、1996年より公益社団法人日本写真協会が写真業界に呼びかけて催されている写真イベントです。毎年6月1日の「写真の日」を中心とした5~6月にかけて、東京都内の写真ギャラリーなどで開催されています。
今年で29回目を迎える国内企画展は、「写真の力で伝えようSDGs」をテーマに、都内の6拠点にて9名の写真展を開催します。

著作権について

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