Neural network Image Processing Toolで
プリント画質を向上
キヤノンのNeural network Image Processing Toolは、Digital Photo Professional専用の高画質処理ツールです。ディープラーニング技術を生かした画像処理を行い、RAW現像時に「デジタルレンズオプティマイザ」(レンズ補正)、「ノイズリダクション」(ノイズ低減)、「デモザイク」(ジャギー、モアレ、偽色抑制)を適用可能。超高感度で撮影した画像も、ノイズによるざらつきを低減しながらも解像感が損なわれないなど、従来のノイズ低減処理とは得られる画質が大きく異なります。回折現象により描写が甘くなった画像の解像感の向上など、このツールを活用することでより高画質のプリントに仕上げることができます。
Digital Photo Professionalの[拡張機能]メニューからNeural network Image Processing Toolをダウンロードします。インストール後、使用するには有料プランへの加入が必要です。Canon IDアカウントを作成し、月間プランまたは年間プランのいずれかを申し込みます。どちらも31日間無料で試用できます。
画像を選びます。複数の画像を選んで、まとめて画像処理を行うこともできます。[拡張機能]メニューで[Neural network Image Processing Tool]を選びます。
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1
- 出力ファイル形式
- 出力するファイル形式を選びます。[.CRN]を選ぶと、カメラが記録した.CR3形式のRAWデータを基に、Digital Photo Professional専用の.CRN形式のRAWデータを生成します。macOSで扱うときや、他社製の画像編集ソフトで処理するときなどは[.CR3]を選びます。
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2
- ニューラルネットワーク ノイズリダクション
- ノイズが多い画像と少ない画像の組み合わせを大量に学習させた結果に基づいて、撮影した画像からノイズを除去した画像を推測します。その情報を利用することで、従来よりもノイズの少ないクリアな画像が得られます。
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3
- ニューラルネットワーク レンズオプティマイザ
- 従来の画像処理では補正しきれない回折現象による解像感の低下を、レンズの設計値に基づいて学習されたディープラーニング画像処理により補正し解像感を向上。従来よりも被写体を高精細に描写した画像を生成します。対象レンズで撮影した場合に適用されます。
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4
- ニューラルネットワーク デモザイク
- 各画素にR、G、Bの信号を持つRGBデータと、いずれかの信号しか持たないRAWデータの組み合わせを大量に学習させた結果に基づき、RAWデータからRGB画像を推測。モアレやジャギーなどが少ない画像を生成します。ニューラルネットワーク デモザイクは効果を調整できません。また、出力ファイル形式が[.CR3]のときは適用されません。
[実行]をクリックすると画像が生成されます。初期設定値での画像処理の結果を確認し、必要に応じて[ニューラルネットワーク ノイズリダクション]と[ニューラルネットワーク レンズオプティマイザ]の効果を調整します(左方向:弱/右方向:強)。生成された.CRN形式、または.CR3形式のRAWデータを現像しプリントします。
ISO 12800
使用プリンター:PRO-S1
キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード]
Adobe Photoshop Lightroom Classicで
ノイズを除去
Adobe Photoshop Lightroom ClassicやAdobe Camera RawにもAIによるノイズ除去機能が搭載されています。対象となるのはRAWデータで、JPEGデータには適用できません。[ディテール]の[ノイズ軽減]の項目で[ノイズ除去]を選ぶと[強化のプレビュー]ウィンドウが表示されます。
プレビューが生成されたら、[ノイズ除去]で[適用量]を調整します。プレビューを長押しすると強化前の状態を表示できます。[強化]をクリックすると、新しいDNGファイル(RAWデータ)が生成されます。
ISO 12800
使用プリンター:PRO-S1
キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード]
Digital Photo ProfessionalとAdobe Photoshop Lightroom Classicのどちらも手動でのノイズ低減処理では、輝度ノイズの緩和を強めるほどノイズによるざらつきは少なくなりますが、それに比例して解像感が損なわれます。だからといってシャープネスを強めるのは逆効果で、写真らしさがなくなり絵画のような仕上がりになりやすいです。バランスよく調整することがポイントですが、AIによるノイズ除去を行ったほうが早くて簡単できれいです。
フォトコンテストの組写真部門の応募作品や写真展で複数のプリントを並べたとき、ISO感度の違いによる画質の差が気になることがあります。従来のノイズ低減処理ではノイズ感と解像感がトレードオフの関係にあるため、ISO感度が近い写真を組み合わせるなどセレクトで妥協することもあるでしょう。でもAIノイズ除去機能を利用すれば、低感度と高感度、超高感度の写真が混在していても違和感は少なく、プリントのクオリティーを統一しやすくなります。