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初心者から上級者まで あなたの写真が変わるプリント講座 解説:岡嶋和幸

初心者から上級者まで あなたの写真が変わるプリント講座 解説:岡嶋和幸

多彩なインクジェット用紙でプリントを楽しむ

インクジェット用紙とは

インクジェットプリンターでの印刷に対応した用紙のことを「インクジェット用紙」といいます。ベースとなる紙(基材)の印刷面にインク受容層があり、プリントヘッドから打ち出された微小のインク滴を正確に吸収して色材を定着させます。普通紙など一般的な用紙とは違いインクのにじみが少なく、色や階調がしっかり再現できるなど写真品質が得られることが特徴です。フィルム写真の印画紙はカラー用とモノクロ用がありますが、インクジェット用紙は基本的にどちらの印刷にも対応できます。

インクジェット用紙
種類

インクジェット用紙は多種多様で、現在100種類以上の製品が販売されています。その中から自分の写真に合った用紙を選ぶことになるわけですが、まずはプリントの印象を左右する「面質」(用紙の表面の質感)がいろいろあることを知っておきましょう。印刷面のツヤや凹凸の具合など、どのような面質の用紙であるのかはパッケージなどに記載されています。

インクジェット用紙は光沢の有無で「光沢系」と「マット系」の大きく2つに分けられます。光沢系は光沢度の違いで「光沢」と「半光沢」、マット系は平滑度の違いで「スムース」と「テクスチャー」に分類されます。さらに面質の微妙な違いでたくさんの種類があり、その中から好みや目的などに応じて選ぶことができます。

インクジェット用紙の面質

インクジェット用紙の面質

写真のプリントに最適なインクジェット用紙が「写真用紙」です。光沢系の写真用紙の多くは、フィルム写真の印画紙と同じ基材を使用していることから「印画紙タイプ」とも呼ばれている「レジンコート紙」(RC紙)です。ツヤのある光沢紙と、光沢が控えめの半光沢紙があります。平滑性が非常に高く鏡面光沢が得られる「フィルム」、上質紙が基材の「コート紙」と呼ばれる光沢系の写真用紙もあります。

コットン紙などを基材としたコート紙が「ファインアート紙」です。水彩画や版画などで使われる「画材紙」にインク受容層をコーティングしたもので、フィルム写真のバライタ印画紙のような仕上がりが味わえる「バライタ紙」もあります。日本画や水墨画などで使われる「和紙」もファインアート紙です。

画材紙と和紙は光沢のないマット系で、バライタ紙は半光沢であるため光沢系に分類されます。顔料プリンターのPRO-G1は、光沢系の用紙はフォトブラックインク(PBK)、マット系の用紙はマットブラックインク(MBK)を使用しますが、中には例外もあります。印刷設定を間違えないように注意しましょう。

インクジェット用紙の種類と特徴

タイプ 種類 特徴
写真用紙 フィルム 基材は紙ではなく樹脂フィルムです。その平滑性を活かした鏡面光沢と、シャープでクリアな仕上がりが魅力です。顔料プリンターではその光沢を十分に活かせないので、染料プリンターでの印刷がお勧めです
レジン
コート紙
RC(=Resin Coating)紙ともいいます。光沢系の一般的な写真用紙の多くがこのタイプです。フィルム写真の印画紙のような高品質のプリントに仕上がります
コート紙 厚手の上質紙の印刷面にインク受容層などをコーティングした写真用紙です。光沢系とマット系の両方があり、手ごろな価格の製品が多いです
ファインアート紙 画材紙 水彩紙や版画紙といった洋紙(西洋紙)の印刷面にインク受容層などのコーティングが施されています。その基材はコットンやアルファセルロースなどの天然繊維で、竹や麻の繊維を組み合わせたものもあります。長期保存に優れている点が特徴です
バライタ紙 フィルム写真のバライタ印画紙と同じバライタ(硫酸バリウム)がベースの用紙です。バライタ印画紙はモノクロ写真用ですが、デジタル写真ではカラーでも印刷できる点が魅力です。バライタ紙特有の風合いのある面質に似せたバライタ調の用紙もあります
和紙 日本古来の紙である和紙(日本紙)の印刷面にインク受容層などのコーティングが施されています。その基材は楮(こうぞ)や 竹、三椏(みつまた)などで、それらの繊維による独特の風合いが特徴です。顔料プリンターのほうが色や階調の再現に有利です

インクジェット用紙の構造

光沢系の用紙
光沢系の写真用紙のほとんどが印画紙タイプで、基材は紙の両面をポリエチレンなどの樹脂でラミネートしたレジンコート紙です。その印刷面にはインク受容層がコーティングされています。平滑性の高い光沢紙と、それよりも光沢が抑えられた半光沢紙があります。
マット系の用紙
マット系の用紙は表裏のどちらも紙の質感があり手触りが良いのが特徴です。上質紙やアート紙(画材紙)など使われている基材はいろいろあります。印刷面のインク受容層のコーティングは異なりますが、光沢系のコート紙やバライタ紙も同じような構造になっています。

用紙選びのヒント

写真を紙に印刷することで「プリント」という形ある物になります。パソコンのモニターに表示されている画像とは違い、実際に手に触れられるなど存在感が増します。絵画を描くときに欠かせない紙やキャンバスなどのようなもので、用紙が変われば写真の印象も変わります。その質感によってプリントの表情が変化するなど、撮影のときに光を選んだり、画像処理で色や階調を調整するのと同じくらい、用紙選びは写真表現において大切な要素なのです。

いつも使っている用紙で良いので、まずは1枚印刷してみましょう。そしてもう1枚、それとは異なるタイプの用紙で印刷します。用紙選びで大切なのは比較することです。2枚のプリントの違いを探すことで、好みや目的に合った用紙や見せ方の方向性が見えてきます。最初は光沢系とマット系で試してみて、光沢系が良ければ次は光沢と半光沢、半光沢が良ければラスターと絹目調といった具合に、比較と選択を繰り返しながら用紙を絞り込んでいきます。

写真によって用紙選びの基準が違います。お気に入りの用紙は仕上がりが読めるなど安心感はありますが、未経験の用紙を使うことでより魅力的に仕上げられるなど新しい発見が生まれます。写真と用紙の相性を探ることでプリント表現の引き出しが増えて、撮影や画像処理のレベルアップにも効果的です。以下の5つのチェックポイントを参考に、写真がより印象的に見える用紙選びを実践してみましょう。

①基材

基材

「基材」とはインクジェット用紙で使われているベースの紙のことです。基材や施されているコーティングによって手触りなどプリントの質感が違います。印画紙タイプは紙を樹脂でラミネートしたレジンコート紙です。表面と裏面はしっかりコーティングされていて耐久性に優れています。平滑性が高く、反りなども少なく取り扱いやすいのが特徴です。

上質紙タイプの「上質紙」とは化学パルプ配合率が100%の洋紙のことで、主に商用印刷で使われています。広告や雑誌などのほか、厚手のものは名刺やはがきにも用いられています。

アート紙タイプの基材はコットンなどが使われている画材紙で、上質紙より高品位です。上質紙タイプとアート紙タイプのどちらも紙の風合いがあるのが特徴です。

用紙によって厚さや重さが異なります。「紙厚」の単位は「mm」または「μm」です。印画紙タイプの多くは0.2〜0.3mmです。「キヤノン普通紙・ホワイト」は0.092mmと薄く、「プレミアムファインアート・ラフ」は0.540mmとかなり厚めです。重さは「坪量」(つぼりょう)といい、単位は「g/㎡」です。これは1㎡あたりの紙の重さのことです。印画紙タイプの多くは200〜300g/㎡です。「キヤノン普通紙・ビジネス」は70g/㎡と軽く、「キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード]」は300g/㎡と重めです。

用紙が重くなればそのぶん厚みが増す傾向ですが、重く硬くコシのあるものばかりではなく、軽くて柔らかくしなやかな厚手の用紙もあります。印画紙タイプは上トレイからの自動給紙に基本的に対応していますが、アート紙タイプの多くは厚さや重さがあるため、手差しトレイからの手差し給紙のみとなっています。

②面質

面質

手触りではなく視覚的な質感という点では、基材より面質のほうがプリントの印象を左右します。光を当てたりいろいろな角度からプリントの表情を観察したりしてみましょう。写真と面質の相性は絵柄やプリントの大きさなどによって違ってくるので、本番サイズで判断するのがベストです。

光沢紙はツヤがあり、平滑性が高いため写真のシャープさやクリアさが際立って目を引きます。しかし絵柄によっては窓からの外光や室内照明の映り込みで写真が見づらくなったり、光の反射が目障りに感じられたりすることもあります。プリントサイズが大きくなるほど影響しやすい傾向です。ツヤは薄れてしまいますが、半光沢紙のほうが映り込みや反射が軽減されます。光沢紙より指紋が目立ちにくいなど無難な選択ともいえますが、微光沢、微粒面、絹目調など半光沢紙にもいろいろな面質があり、光の反射で印刷面がギラついたり、微細な凹凸で写真の細部が見づらくなったりすることもあります。写真との相性や見せ方を考えて判断すると良いでしょう。

マット系の用紙はツヤがない無光沢なので、室内照明など光の反射や映り込みを気にする必要は基本的にありません。印刷面が滑らかなスムースは落ち着いた仕上がりになり、より平滑性の高いウルトラスムースという選択もあります。スムースは優しく、テクスチャーは荒々しい印象です。平面的な光の条件では両者の違いはあまり感じられませんが、立体的な光を当てるとテクスチャーの表情は大きく変わります。被写体の立体感や風景の奥行きが強調されるほか、テクスチャーの凹凸による陰影がハイライトの白飛びを補うような効果も期待できます。個性的なプリント表現が可能ですが、細かい絵柄はテクスチャーに埋もれて見づらくなりがちです。しかし、サイズが大きくなるほど気にならなくなる傾向にあります。

③紙色

紙色

「紙色」とは紙の色のことです。「紙白」と呼ぶこともありますが、インクジェット用紙の色は基本的に「白」です。しかし用紙の白さは同じではなく微妙に違います。青みがかった白から黄みがかった白まで用紙によってさまざまです。青みがかった白は涼しげで、黄みがかった色は温かみが感じられます。印画紙タイプは青っぽい白、アート紙タイプは黄みっぽい白が多い傾向ですが、どちらもニュートラルな白さの用紙もあります。

シャドウとは影の部分や陰影のことで、画像の中の暗い階調の領域でもあります。シャドウの中で特に暗い部分、または階調の存在しない完全に真っ黒な状態のことを「ディープシャドウ」と呼んでいます。その黒さは、インクジェットプリントではブラックインクの濃度で決まります。顔料プリンターのPRO-G1はフォトブラックインク(PBK)とマットブラックインク(MBK)を切り換えるため、用紙との相性もありますが、光沢系とマット系では黒の印象が微妙に違います。

ハイライトとは明るく見える部分や白い部分のことで、画像の中で明るい階調の領域でもあります。ハイライトの中でも一番明るい最高輝度部を「ハイエストライト」といいます。インクジェットプリンターにホワイトインクは搭載されていないので、白飛びしている部分にはインクはほとんど吹き付けられません。用紙の紙色がハイエストライトということになります。そのため絵柄によって度合いは違いますが、印刷した写真の色あいに少なからず影響します。

プリントの余白は広めのほうが紙色が目に入りやすくなりますが、カラー写真とモノクロ写真でも用紙選びの判断は違ってきます。カラーは写真の色によって紙色の影響は気になりにくかったり、ホワイトバランスで見え方を微調整できたりします。モノクロ写真は基本的に無彩色であるため紙色が影響しやすい傾向です。青っぽい紙色は冷黒調(クールトーン)、黄みっぽい紙色は温黒調(ウォームトーン)のモノクロプリントに仕上げるときに効果的です。

白色度 使用プリンター:PRO-S1

用紙の白さの度合いを光の反射率で表した指標が「白色度」です。単位は「%」で、用紙のパッケージなどに「ISO白色度」または「白色度」として記載されています。キヤノン純正紙では「キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード]」は98%と高く、「キヤノン写真用紙・微粒面光沢 ラスター」と「プレミアムファインアート・スムース」は92%となっています。紙色がニュートラルな白さであっても、明るめの白や暗めの白など用紙によって明度は異なります。白色度が高いほうがハイライトが際立ち透明感が出せるほか、用紙の白とインクの黒によるダイナミックレンジの広さで立体感やコントラストを高められます。なお、一般に用紙は白く見せるために蛍光増白剤を使用していますが、プリントの保存性に影響を及ぼす可能性があります。そのためアート紙タイプの多くは蛍光増白剤を使用していません。

RAW現像やフォトレタッチといった画像処理では、プリントで仕上げる場合に紙色を計算に入れた調整が必要になります。Digital Photo Professional、Adobe PhotoshopやAdobe Photoshop Lightroom Classicといったカラーマネジメント対応ソフトには「ソフト校正」(ソフトプルーフ)機能が搭載されています。紙色を含めた印刷結果をそれらの画像処理ソフト上でシミュレーションできるので、色や階調などをパソコンのモニター表示で確認しながら調整を進めることができます。Professional Print & Layoutではソフトプルーフに加え、パターン印刷機能を利用するとさらに効果的です。

④色再現

キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード] キヤノン写真用紙・微粒面光沢 ラスター キヤノン写真用紙・プレミアムマット

使用プリンター:PRO-S1

  • キヤノン写真用紙・
    光沢 プロ
    [プラチナグレード]
  • キヤノン写真用紙・
    微粒面光沢 ラスター
  • キヤノン写真用紙・
    プレミアムマット

色再現

一般に光沢系の用紙のほうが色域が広めであるなど鮮やかな発色が得られる傾向です。光沢紙は平滑性が高くツヤがあり、コントラストや彩度が高めの写真を鮮烈に見せたいときに有利です。半光沢紙もコントラストや彩度をしっかり再現できますが、光沢が控えめなぶん少し落ち着いた見え方になります。

同じ用紙でもPRO-G1とPRO-S1では少し印象が違います。特に光沢紙は染料プリンターのPRO-S1のほうが色鮮やかな写真に強い傾向です。マット系は顔料プリンターのPRO-G1のほうが相性が良いのですが、どちらも高彩度の部分は色や階調が破綻しやすいので用紙選びでは注意が必要です。

一般的なマット紙は、光沢紙や半光沢紙より発色は控えめの傾向です。もの足りないからとコントラストや彩度を高めにすると階調が損なわれたり色がつぶれたりします。マット系でもファインアート紙のほうが色や階調の再現性に優れていて、高価ですが紙の風合いを活かしながら満足度の高いプリントに仕上げられます。カラーマネジメント対応の画像処理ソフトでは、ソフトプルーフ(ソフト校正)機能を利用すると良いでしょう。印刷で色域からはみ出る部分を確認しながら調整が進められます。

プリントで思うような色が得られないときは、Professional Print & Layoutの[色設定]シートで[カラーバランス]を調整したり、パターン印刷機能でイメージに近い補正値を見つけ出したりするのも近道です。特定の部分のパターンを見たい場合は、トリミングしてパターン印刷を行うと効果的です。その部分を拡大した状態で色あいなどを確認することができます。

⑤階調再現

キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード] キヤノン写真用紙・微粒面光沢 ラスター キヤノン写真用紙・プレミアムマット

使用プリンター:PRO-S1

  • キヤノン写真用紙・
    光沢 プロ
    [プラチナグレード]
  • キヤノン写真用紙・
    微粒面光沢 ラスター
  • キヤノン写真用紙・
    プレミアムマット

階調再現

明瞭な感じに仕上げたいのか、柔らかな雰囲気で見せたいのかなど、まずはプリントの方向性を決めましょう。そのあたりは用紙によっても変わるため、使う用紙が決まる前に画像処理で絵を作り込み過ぎないこともプリント表現では大切です。プリントでは階調に目を向けることで不自然な画像処理を防げるようになります。全体のコントラストだけでなく、ハイライト、中間調、シャドウ、それぞれの階調の出方なども観察しましょう。立体感や質感などの再現性もポイントです。得手不得手を見極めながら用紙を選び、苦手な要素やもの足りない部分などを画像処理でカバーできるかどうかの判断も必要です。

光沢系のほうが白色度の高い用紙が多く、ハイライトが際立ち、シャドウも引き締めやすいです。そのぶんダイナミックレンジは広めで、明暗や濃淡の差が大きいなどコントラストが高めの写真にも対応しやすくなります。反対に高コントラストの写真は、マット系だと階調が十分に再現されにくい傾向です。染料プリンターは濃度の高い部分はインクがにじむなどつぶれやすいため注意が必要です。ちなみに顔料インクは速乾性がありますが、マット系では、印刷直後はシャドウがつぶれて見えても、時間が経つと少しディテールが出てくることがあります。

どのような用紙でも得手不得手があり、同じ用紙でも写真によって判断が異なります。ある写真で選ばなかった用紙が、ほかの写真では最適となるケースは少なくありません。前に使ったときの評価は、次の用紙選びではリセットしたほうが良いでしょう。写真の魅力を引き出せるような相性の良い用紙を1枚1枚見つけ出すのです。

過度な画像処理を行うと画質が劣化したり不自然な部分ができたりして、それらはパソコンのモニター表示よりプリントのほうが目に付きやすい傾向です。その点、Professional Print & Layoutの[色設定]シートでの調整は印刷結果に反映されるだけで、元の画像データには何も手を加えません。画質劣化の心配がないので、印刷してもの足りない部分があればこの機能で調整すると良いでしょう。

他社製用紙がる
プリント表現

用紙を選ぶときはキヤノン純正紙だけでなく、国内外の用紙メーカーから発売されているインクジェット用紙にも目を向けてみましょう。キヤノン純正紙と同じタイプの用紙も数多くラインアップされていて、面質、紙色、色や階調の再現性などが微妙に異なりそれぞれに個性があります。よりこだわった用紙選びが楽しめるようになり、プリント表現の幅がさらに広がります。メタル調、バライタ紙、和紙など、キヤノン純正紙にはないタイプの用紙も複数のメーカーから発売されているので、それらも試してみると良いでしょう。Professional Print & Layoutやプリンタードライバーにはファインアート紙、バライタ紙、和紙といったインクジェット用紙の特性に合わせたプリントモードを搭載しています。[用紙の種類]を選ぶだけで、それぞれの用紙の特性を最大限に引き出したプリントに仕上げることが可能です。

PRO-G1やPRO-S1に対応する他社製用紙のICCプロファイルをキヤノンでも用意しています。ただし全ての用紙ではなく、インクとのマッチングなどを考慮して選んだものだけなので、それ以外については各用紙のメーカーサイトで入手してください。

キヤノンが配布する
主な他社製用紙のICCプロファイル一覧

種類 用紙名 PRO-G1 PRO-S1
光沢紙 イルフォード ギャラリー スムースグロス310
半光沢紙 イルフォード ギャラリー サテンフォト
ファインアート紙
スムース
キャンソン・インフィニティ エディション・エッチング・ラグ
キャンソン・インフィニティ ラグ・フォトグラフィック
ハーネミューレ フォトラグ
ハーネミューレ フォトラグ ウルトラスムース -
ファインアート紙
テクスチャー
ハーネミューレ ジャーマン エッチング
ハーネミューレ ミュージアム エッチング
バライタ紙 キャンソン・インフィニティ プラチナ・ファイバー・ラグ
ハーネミューレ ファインアート バライタ
和紙 アワガミファクトリー プレミオ 楮
アワガミファクトリー 竹和紙
アワガミファクトリー 楮(厚口)白

キヤノン純正紙と同タイプの
他社製用紙(光沢系・光沢)

キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード] イルフォード ギャラリー スムースグロス310

使用プリンター:PRO-S1

  • キヤノン写真用紙・
    光沢 プロ
    [プラチナグレード]
  • イルフォード ギャラリー
    スムースグロス310

キヤノン純正紙と同タイプの他社製用紙(光沢系・光沢)

キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード]
キヤノン写真用紙・光沢 プロ
[プラチナグレード]
紙厚:0.300mm
坪量:300g/㎡
白色度:98%
イルフォード ギャラリー スムースグロス310
イルフォード ギャラリー スムース
グロス310
紙厚:0.310mm
坪量:310g/㎡
白色度:99%

印画紙タイプの高光沢の用紙です。コシもあり手にしたときの印象も良い感じです。色や階調の再現性はどちらも優秀で、黒も引き締まっていて立体感も十分に出ています。よく観察すると光沢度だけでなく、平滑性や紙色は微妙に違います。どちらかというと「キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード]」のほうが自然な白さで、「スムースグロス310」はわずかに青みがかって見えますが、仕上げたいプリントの方向性で選択すると良いでしょう。

ハイグレードの光沢紙はイルフォード以外にも、キャンソン・インフィニティ、シール マスタークラス、ピクトリコ・プロなど多くのメーカーから発売されていて種類が豊富です。このクラスは高性能であるため写真を選ばず、幅広く対応できます。もちろんどれも同じ印刷結果になるわけではないので、好みや目的に合ったものを見極めて選びましょう。染料プリンターのPRO-S1との相性が良く、用紙が持つ光沢をしっかり活かすことができます。

キヤノン純正紙と同タイプの他社製用紙
(光沢系・半光沢)

キヤノン写真用紙・微粒面光沢 ラスター イルフォード ギャラリー サテンフォト

使用プリンター:PRO-S1

  • キヤノン写真用紙・
    微粒面光沢 ラスター
  • イルフォード ギャラリー
    サテンフォト

キヤノン純正紙と同タイプの他社製用紙(光沢系・半光沢)

キヤノン写真用紙・微粒面光沢 ラスター
キヤノン写真用紙・微粒面光沢 
ラスター
紙厚:0.260mm
坪量:260g/㎡
白色度:92%
イルフォード ギャラリー サテンフォト
イルフォード ギャラリー サテン
フォト
紙厚:0.265mm
坪量:260g/㎡
白色度:98%

顔料プリンターのPRO-G1と染料プリンターのPRO-S1のどちらも満足度の高い仕上がりが得られるのが印画紙タイプの半光沢です。写真を選ばずオールマイティーに印刷できます。キヤノン純正紙の半光沢は「キヤノン写真用紙・絹目調」も選べますが、「キヤノン写真用紙・微粒面光沢 ラスター」のほうがハイグレードで色や階調をしっかり再現できます。落ち着いた質感で高級感もある微粒面で、フォトコンテストの応募作品や写真展の展示作品などに適しています。

「サテンフォト」のほうが紙色はやや青みがかっていますが、印刷面の光の反射が少なく落ち着いて見える印象です。ひとくちに半光沢といってもいろいろな面質があるので、写真の見せ方などによって最適な用紙を選ぶと良いでしょう。イルフォードの印画紙タイプの半光沢はパール面の「スムースパール310」、微粒面の「ラスターシルク」も選べます。キャンソン・インフィニティやピクトリコプロも同じタイプの用紙が複数ラインアップされています。

キヤノン純正紙と同タイプの他社製用紙
(マット系・スムース)

キヤノン写真用紙・プレミアムマット ハーネミューレ フォトラグ ウルトラスムース

使用プリンター:PRO-G1

  • キヤノン写真用紙・
    プレミアムマット
  • ハーネミューレ フォトラグ
    ウルトラスムース

キヤノン純正紙と同タイプの他社製用紙(マット系・スムース)

キヤノン写真用紙・プレミアムマット
キヤノン写真用紙・プレミアムマット
紙厚:0.310mm
坪量:210g/㎡
白色度:92%
ハーネミューレ フォトラグ ウルトラスムース
ハーネミューレ フォトラグ ウルトラスムース
紙厚:0.480mm
坪量:305g/㎡
白色度:94%

マット系の用紙は上質紙タイプとアート紙タイプがあります。どちらも表面がすべすべしたスムースな面質が選べますが、アート紙タイプのほうが高級で、色や階調の再現性も優れています。「キヤノン写真用紙・プレミアムマット」は上質紙タイプの用紙で、自然な明るさの紙色で写真を選ばない印象です。滑らかな面質で、上質紙タイプではあるのですが色再現や階調再現は優秀です。黒の締まりなど顔料プリンターのPRO-G1との相性は良好です。

「フォトラグ ウルトラスムース」は、同じハーネミューレのスムースな面質の「フォトラグ」よりさらに滑らかなウルトラスムース面質です。そのぶん細部までシャープに見せることができます。紙色は明るく、ハイライトが際立つなど透明感のある仕上がりです。紙色がより明るいスムース面質の「フォトラグ ブライトホワイト」という用紙もあります。イルフォードやキャンソン・インフィニティのラインアップも、スムース面質のファインアート紙が充実しています。

キヤノン純正紙と同タイプの他社製用紙
(マット系・テクスチャー)

プレミアムファインアート・ラフ ハーネミューレ ジャーマン エッチング

使用プリンター:PRO-G1

  • プレミアムファインアート・
    ラフ
  • ハーネミューレ
    ジャーマン エッチング

キヤノン純正紙と同タイプの他社製用紙(マット系・テクスチャー)

プレミアムファインアート・ラフ
プレミアムファインアート・ラフ
紙厚:0.540mm
坪量:320g/㎡
白色度:−
ハーネミューレ ジャーマン エッチング
ハーネミューレ ジャーマン エッチング
紙厚:0.500mm
坪量:310g/㎡
白色度:91.5%

マット系のテクスチャー面質は凹凸のある粗い質感が特徴です。スムース面質より絵画的な印象で、写真の見せ方に変化を付けられます。表面のテクスチャーが写真の絵柄の中に埋もれることもありますが、空など平坦な部分は目立ちやすいです。「プレミアムファインアート・ラフ」は凹凸が大きめで、その段差により写真の奥行きや立体感を強調するような効果が得られます。紙厚があり手触りも良く、写真を選ばず幅広く使えるでしょう。

「ジャーマン エッチング」は銅版画用紙と同様の面質でテクスチャーが粗く、個性的なプリント表現が可能です。繊細かつ雰囲気のある質感で、絵柄がよりシャープに見えるような効果もあります。ハーネミューレはほかにも「アルプレヒト デューラー」「ウイリアム ターナー」「トーション」「ミュージアム エッチング」といったテクスチャー面質の用紙が選べます。イルフォードやPCM竹尾もテクスチャー面質のファインアート紙が充実しています。

キヤノン純正紙にないタイプの
他社製用紙

ダイヤミック ピクトリコプロ・ホワイトフィルム ダイヤミック GEKKO パールラベル

使用プリンター:PRO-S1

  • ダイヤミック ピクトリコプロ・
    ホワイトフィルム
  • ダイヤミック GEKKO
    パールラベル

キヤノン純正紙にないタイプの他社製用紙

ダイヤミック ピクトリコプロ・ホワイトフィルム
フィルム
ダイヤミック ピクトリコプロ・ホワイトフィルム
紙厚:0.185mm
坪量:260g/㎡
白色度:96%
ダイヤミック GEKKO パールラベル
メタル調
ダイヤミック GEKKO パールラベル
紙厚:0.260mm
坪量:255g/㎡
白色度:77%

「ピクトリコプロ・ホワイトフィルム」はその名の通り「紙」ではなく「フィルム」です。樹脂フィルムの高い平滑性を活かした鏡面光沢により、印画紙のクリスタルプリントのような極めてクリアでシャープな仕上がりが得られます。黒がしっかり引き締まり、ハイコントラストで明瞭な仕上がりが望めるため、夜景や天体などのプリントにも最適です。ピクトランの「ピクトラン クリスタル」も同じくフィルムタイプの製品です。

メタル調の「GEKKO パールラベル」は真正面からだと普通の光沢紙とあまり違いはありませんが、プリントを手に取り見る角度をいろいろ変えてみるとその特徴的な光り輝くメタリックな光沢感が楽しめます。ハイライトから中間調にかけて美しい光沢が感じられ、シャドウが浮かび上がるような立体感も得られます。イルフォード、シール マスタークラス、ピクトラン、ピクトリコ・プロのラインアップのほか、ハーネミューレにはメタル調のバライタ紙もあります。

ハーネミューレ フォトラグ バライタ アワガミファクトリー 楮(厚口)白

使用プリンター:PRO-G1

  • ハーネミューレ フォトラグ
    バライタ
  • アワガミファクトリー 楮
    (厚口)白

キヤノン純正紙にないタイプの他社製用紙

ハーネミューレ フォトラグ バライタ
バライタ紙
ハーネミューレ フォトラグ バライタ
紙厚:0.430mm
坪量:315g/㎡
白色度:91%
アワガミファクトリー 楮(厚口)白
和紙
アワガミファクトリー 楮(厚口)白
紙厚:0.230mm
坪量:110g/㎡
白色度:−

イルフォード、キャンソン・インフィニティ、ハーネミューレなど海外の用紙メーカーを中心に種類が豊富なのがバライタ紙です。画材紙がベースの半光沢のファインアート紙で、バライタ印画紙の風合いのある面質に似せたバライタ調の用紙もあります。「フォトラグ バライタ」はやや温かみのある自然な白さが魅力です。しっかりした手触りで高級感もあります。モノクロ表現にも最適で、写真の雰囲気や見せ方などに合った用紙選びを楽しむのも良いでしょう。

和紙は楮、竹、三椏、雁皮など多くの原材料が用いられるなどバリエーションが豊富です。それぞれの繊維が活かされた表情豊かな用紙ばかりで、薄口と厚口、機械漉きと手漉き、耳付きの和紙などから選べます。マット系のファインアート紙の洋紙より使いこなしが難しい印象ですが、風合いを活かしたプリント表現が楽しめます。「楮(厚口)白」は柔らかで繊細な仕上がりが得られ、紙厚が0.16mmの「楮(薄口)白」、紙色が薄茶の「楮(厚口)生成」なども選べます。

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あなたの写真が変わるプリント講座【中級編】Lesson 14 プリント用紙の選び方
https://personal.canon.jp/ja-JP/articles/tips/print-howto/lesson14
2
https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/tips/print-howto/image/1.png?la=ja-JP&hash=0A7FFD82FECAE1787B196782EB84DD05
2023-10-20