第5回 RF15-35mm F2.8 L IS USM
公開日:2019年11月6日
「RFレンズってどうなのかな?」「いい評判は聞くけど、なかなか手が出ないよね……」と気になっている皆さんのための連載です。
RFレンズに興味津々のフォトグラファー・中西祐介さんが、毎回1本のRFレンズを本気で試し撮り。〈買い〉かどうかを率直に判定します!
今回試すのは、広角ズームレンズ「RF15-35mm F2.8 L IS USM」。
一眼レフ用の EF16-35mm F2.8L III USM よりも広角側が1mmワイドになり15mmに。重量は50gほどアップしましたが、大きさはほぼ同等。その1mmの差は「たった1mm」なのか「1mmも!」なのか。そして気になる画質は……。
中西さん、いかがでしたか?
このRFレンズ〈買い〉ですか?
写真と語り:中西祐介(フォトグラファー)
早朝の乗馬クラブでのワンシーン。柔らかい朝日の存在感を写したくて逆光を選び、馬と人の絆を表現しました。繊細な光の表情と土の匂いなど、その場で私が感じたものを全て写真の中に閉じ込めたいと思いながらシャッターを切りました。撮影した写真を見ると、その全てがありました。「その場の空気そのもの」が映し出せるのは、RFレンズならではだと思います。
撮影協力:ステーブルフェデラ
ローアングルで秋の空を大きく写し込み、人馬の姿を撮影しました。せっかく広角ズームレンズを使うなら、広い画角でダイナミックに撮りたい。歩いてくる人馬の位置に合わせて、素早くズームリングを回してフレーミングします。RFレンズは、ズームリングの操作性も快適なんですよ。
撮影協力:パートナーホースクラブ
馬が多くの時間を過ごす厩舎は、私がとても大好きな場所。少し暗めのこんなシーンは、開放F値F2.8を積極的に使います。いいレンズは絞り開放から高画質を誇ります。逆に言えば、絞り開放から使えないと、あまり意味がない。
RF15-35mm F2.8 L IS USMの絞り開放での画質は、期待以上。RFレンズは高性能化しているのに、描写は極めてナチュラル。この一枚で、これまでに体感したことのない世界へ連れて行ってくれました。
撮影協力:ステーブルフェデラ
ふと見上げると、青い空の中で刻々と変化する雲の表情に目を奪われました。私が見た力強いエネルギーを見せたくて、少しアンダー気味の露出で雲の強さを強調しました。
広角ズームレンズの画面周辺部もクリア。この写真の隅の色が少し濃くなっているのは、太陽に露出を合わせたため空の色が濃く変化したもの。いわゆる周辺光量落ちは全く気になりません。広角側でも安心して使うことができますね。いままで見たことのない光の質が写るような気がします。
趣のある大学キャンパスで撮影しました。窓から差し込んでくる光と、床に反射する光が魅力的に映りました。ゆっくりと流れる時間の中で、肉眼では発見できない写真でしか作り出せない映像美を目指しました。
カメラを床に置いてバリアングル液晶を見ながらアングルを探していきます。理屈では表すことができない空気感をこのレンズは映し出してくれます。
撮影協力:立教大学
雨の日の夜間練習で、大学ラグビー部を撮影。広角ズームレンズでポートレート撮影にチャレンジしました。メリハリのある光を作るためにスピードライト 600EXII を左サイドからワイヤレスで1灯使用しています。
高い解像感に助けられて、彼らの肉体の強さやラグビーにかける情熱など、思い通りのイメージで描くことができました。
撮影協力:日本大学ラグビー部
RF15-35mm F2.8 L IS USM の最短撮影距離は0.28m。とても寄れるレンズなんです。ピントのフォーカス部分はシャープなのに、ボケ味はとても柔らかい。
とても優しい雰囲気も得意とするレンズです。いい意味で、「デジタルっぽさ」が抜けたと言えばいいのかな。
カフェラテの温かさと温もりを見せたくて最短距離、絞り開放で撮影しました。そして約5段分の手ブレ補正が効いているから、手持ちでシャッターを切っています。
広角ズームでなくては撮れないような、親子の動きのあるポートレートを撮影してみようと思いました。川沿いの道を2人に遊んでもらいながら、その動きを追っていきます。RF15-35mm F2.8 L IS USM は、AFも快適。スムーズにフォーカスしてくれるから、ストレスなく動作と表情に集中して撮影できました。
快適なAFを支える技術「ナノUSM」については、「第4回(特別編)開発者に聞いた「F2.8 L IS シリーズ」のヒミツ」ページの高速かつ正確なAFを実現した「ナノUSM」の実力とは?をご覧ください。
「光や空気感の印象まで写しとる」表現力を高めたい皆さんに〈買い〉推奨。
これまで何本もの広角ズームレンズを使用してきましたが、今回のRF15-35mm F2.8 L IS USMは別格でした。写真表現が新しい時代に突入したことを実感させるレンズです。高解像度競争が1つのフェーズを終えて、より自然で余裕のある描写を追求するフェーズに移ってきている気がします。
引いてもよし、寄ってもよし。撮るたびに、もっと撮りたくなります。画質面以外でもズームリングの操作性の向上や重量バランスのよさなど、スペックには表せない部分の作り込みや操作感の満足度も高いです。本当にいいレンズですね。
その魅力を一言で言うなら、こういうことだと思います。