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農業

土を守り、次世代につなげる
十文字ヴィレッジの挑戦

飯野 陽彦さん 十文字ヴィレッジ株式会社 代表取締役

十文字ヴィレッジ株式会社の飯野陽彦さんは、東日本大震災をきっかけに一次産業の大切さに目覚め、「土を守る」ことを信念に独立。群馬県の榛名山の麓、火山灰が堆積した豊かな土地で、野菜の生産・加工から企業とのコラボレーション農業、キャンプ場経営まで、幅広く事業を展開しています。そんな飯野さんに、仕事で大切にしていること、仕事を通じて伝えたい想いをお聞きしました。

震災で痛感した、食糧確保の大切さ

十文字ヴィレッジ株式会社では、野菜の生産・栽培、そして漬物やドレッシングへの加工と販売をメインに事業を展開しています。事業の一番の目的は、私が生まれ育ったこの地域を活性化させたいという想いです。農業を軸にたくさんの人にこの土地に足を運んでもらいたいとの想いから、キャンプ場の経営も行っています。

私はもともと農家をしていたわけではなく、前職は食肉の卸会社で21年間営業をしていました。会社の業務拡大にともない、埼玉と東京への進出を任され、東京駅から地下鉄に乗っていたときに3.11の震災に遭ったんです。電車が動かなかったので車を停めてあった川越まで8時間かけて歩くなか、コンビニの食料品があっという間に売り切れるのを目撃し、「人間は危機感を覚えた時に、まずは食料を確保するのだ」と、食料の大切さを痛感しました。一方、私の生まれ育った地域は、翌日にはもう日常に戻っていて、計画停電があった時も今まで通り畑仕事をしていました。電気がなくても仕事ができ、食料が確保できる一次産業ってすごいなと感じました。しかし同時に、地域の人口が減り、農家さんが高齢化して畑が荒れていく現状に危機感を覚えたんです。そうして、土を守りながら地域を盛り上げる事業がしたいと思い、独立を決意しました。

草むしりをしながら、次の一手を
考えた

独立はしたものの、農業は全くの未経験です。まずは畑一つから始めて、ニンジンを作ろうとしたのですが、知識やノウハウがなくて大失敗しました。農業は種を蒔いてから作物ができるまで70~90日かかるので、その間はお金が入りません。草むしりをしながら「このままじゃダメかな」と何度も思いました。

そんなとき、独立した最初の目的を思い出しました。「この地域を盛り上げたい。この土地の良さを知ってほしい」。そのためには、この場所に来てもらわなくてはいけません。そこで思いついたのが、農業をやりたい企業さんと、使っていない畑を持っている農家さんをマッチングさせるという事業です。企業は毎日畑に来る必要はなく、来たいときだけで構いません。近くに住む私たちで畑のケアをし、管理費をいただきます。こうすることで両者にメリットが生まれ、地域を盛り上げることにもつながると考えました。そのように始めたビジネスモデルのおかげで、十文字ヴィレッジの経営も徐々に安定していきました。

次にチャレンジしたのが、地域の特産品である十文字大根を全国に拡げることです。そのためには生産だけではなく加工して商品化したいと思い、漬物加工場を作りました。まずは地元での販売からはじめ、ネット販売も拡大しています。ネット販売では商品に込めた想いや召し上がり方を口頭で伝えることができないため、当初は自分でチラシやレシピをデザインし、社内のプリンターで印刷して入れていました。ネット販売が拡大するにつれてプロのデザイナーにデザインを頼むようにもなりましたが、印刷は変わらず自社のプリンターを使用して印刷しています。

プリンターが支えるスピード感と
対応力

プリンターは請求書や納品書の印刷で毎日使用しています。たとえば、学校給食に納品する際にも、その場でデータを打ち込んで印刷しています。また、この仕事では今すぐに商品のラベルやPOP、チラシが必要なことがあります。たとえば、新しい野菜や新しい漬け物が完成したときは新鮮なうちにすぐ直売所に持っていかなければなりません。そのような時には、更新したデータをすぐにプリンターで出力し、直売所や納品先で商品に貼っています。50品目以上ある野菜は、天候で収穫時期が刻一刻と変わるので出荷はスピードが勝負です。ラベルのひな形を用意し、品名や価格を変えるだけですぐに印刷して貼り付けできるようにしています。

チラシなどのお客様に見てもらう印刷物は、色味やデザインがその野菜の味や雰囲気を表現し、伝えたいことがわかりやすく伝わるよう、みんなで話し合いながら作っています。

市場では規格に沿ったきれいな野菜が並び、少しでも傷があったり形が悪かったりするものは扱ってもらえません。しかし、規格から外れていても味や品質に問題ない野菜は、野菜の量を多くして、ラベルを貼り直したりして販売します。お客様にも好評で、野菜も無駄にならずに済みます。ラベルはその時々で情報を変えなくてはいけないので、プリンターは欠かせない存在になっています。

現在、プリンターは2台使っていて、1台は出力専門、もう1台はコピーと出力の両方で使っています。出力専門の方は枚数が多い時に使用していますが、かなり早いので助かっています。

娘の落書きが、会社のキャラクターに

ラベルでも使用している会社のキャラクター、十文字大根の「コンタ」は、当時小学3年生だった私の娘が作りました。娘は絵を描くのが好きでよく野菜のキャラクターを落書きしていたのですが、それがルーツになっています。最初は手書きで描いたものをそのままプリントして使っていましたが、好評だったのでデザインをプロに頼んで整えてもらい、今ではブランドのロゴのようになっています。「そのキャラクターのバッジがほしい」「ぬいぐるみはないんですか?」などの問い合わせがあるほど評判です。

台所に残る1枚のレシピが、
思い出すきっかけになる

ネット販売で商品に同梱するレターにはレシピを添えているのですが、それが役に立つというコメントをいただいています。商品以外でも、そうした自分たちのこだわりに反応いただけることは、やはり嬉しいですね。

今の時代、情報はWebで見ることができますが、紙で出力して手に取って見てもらうことは大切だなと感じています。私たちが店舗での販売はもちろん、ネット販売でも紙のレシピを入れている理由は「手元に置いてもらえる」からです。紙のレシピは、台所で調理するときに備えて、手元に保管していただけます。紙が手元に残ることで、見るたびに「あの野菜美味しかったな」と、うちの野菜を思い出してもらえたらと思っています。

書類づくりで実感する、会社の成長

最初は本当に全部手作りでやっていました。会社の封筒のデザインも全部自分です。初めてプリンターから自分でデザインした紙が出てきたときには「会社を経営しているのだなあ」と実感が湧きました。

今でも請求書を作って封筒に入れるときは仕事の成果を感じます。日々仕事をさせていただいている結果として請求書を送り、お金をいただくことができる。その繰り返しで会社が徐々に大きくなり、新しいことを始めることができます。会社の成長のそばに、いつもプリンターがいたのだなと感じています。

店やイベントを通じて、
人が集まる畑へ

最近は、大根早抜き選手権など、多くの人が参加できるイベントも開催しています。来年1月にはキャンプ場の中に飲食店を立ち上げます。新鮮な採れたて野菜のサラダバーと、地域の特産である干し大根の専門店もオープンします。

畑もどんどん増えて、今は38か所まで増えました。次は小麦を作って小麦粉に加工し、パン工房まで作ることを計画しています。ブドウを植えて「十文字ワイン」を作る計画もあります。事業が拡大すると、メニューやチラシなど、プリンターにはますます活躍してもらわなければなりません。これからも、出力する印刷物のバリエーションがどんどん増えていきそうです。

土を守り、未来へ繋げる

仕事で大切にしていることは「未来に繋げる」ことです。未来に繋げたいものとは、食を通じた、人と自然との共生です。これからも、この土地でしっかりと土を守り、農業と豊かな自然の共生を次世代に繋げたいと思っています。

POINT

  • 天候や収穫時期に合わせて即座にラベルがプリントできると、新鮮な野菜を届けられる。
  • レシピを印刷して渡すことでお客様の台所にレシピが残り、思い出してもらえる機会が増える。
  • プリンターが手元にあると、思いついたことをすぐ形にでき、試し刷りを重ねながら
    アイデアを磨いていける。

飯野 陽彦 さん

十文字ヴィレッジ株式会社 代表取締役
生まれ育った地域を守り活かして農業を営む。
キャンプ場の経営など、農業と様々な事業を絡めて地域活性化を図っている。

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