山登りする度にこみ上げる、絶景の感動
公開日:2021年9月24日
最終更新日:2022年7月25日
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-mainvisual.jpg?h=900&la=ja-JP&w=1600&hash=90BBA677E47739731E953B90EBD34E52)
「登っている時はとにかく辛い」と笑い飛ばす休日登山家のKAORIさん。それでも山に登り続けるのは、ここでしか見られない絶景があるから。息を切らし満身創痍でも一歩一歩足を進めてようやく出会う、地上では決して見られない偉大なる大自然。壮大なモルゲンロートや満天の星空、美しく伸びる山の稜線や尾根の美しさ……。そんな登山者だけが出会える特別な体験とともに、今回は高山低山問わず多くの山を登ってきたKAORIさんならではの登山スタイルや知っておきたい登山の持ち物選びについてもお聞きしました。
PROFILE
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/image/tozan-profile.jpg?h=300&la=ja-JP&w=300&hash=031596589F03A9B0F9BA505ED7D16C1D)
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/image/tozan-profile.jpg?h=300&la=ja-JP&w=300&hash=031596589F03A9B0F9BA505ED7D16C1D)
モルゲンロートが照らした山好きへの道
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article01.jpg?h=533&la=ja-JP&w=800&hash=2125CC34681078FC1608E0455CDBE7DF)
今思えば無知って怖いなと思うのですが、私の人生でほぼ初となる登山の目的地は国内第3位の高さを誇る奥穂高岳(3,190m)への起点、涸沢カール(2,300m)でした。
ここに向かうことを決めたのは「山に登りたいから」ではなく、ただ「きれいな景色が見たい」という気持ちから。目的地の涸沢は秋になると3,000m級の山の斜面一帯が紅葉に染まる絶景ポイントで、とにかくそれを自分の目で見たかったんです。
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article02.jpg?h=533&la=ja-JP&w=800&hash=586B192FCCEDE041B9124E31A2F79B80)
涸沢まではスタート地点となる上高地から約7時間かけて歩き、しかも初めてのテント泊でした。正直に言えばもう辛くてしんどくて(笑)。心の中は、「なんでこんな辛い思いしてるんだろう」でいっぱい(余談ですが、涸沢にアタックする前に登った山では下山できないほど足が動かず、同伴者に荷物を担いでもらう有様でした……)。
そんな感じで登山中はとにかく苦しくて苦しくて。ただ、その分、涸沢カールで迎えた翌朝のモルゲン※1は心底感動しました。「なにこれ、すごい」って。そのあとも、いくつもの山でモルゲンを目撃しましたけど、その時に見た涸沢の朝は別格です。
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article03.jpg?h=533&la=ja-JP&w=800&hash=A74283D6ABD6392D97914ECC091438BF)
3,000m級の山脈の頂上付近だけが全部染まったあの光景を前に、「この場所に来なければ出会うことのない、しかも気象条件で見られない景色があるんだ」と。そのときの衝撃は、山を好きになった理由のひとつかもしれないですね。
-
※1
モルゲンロートの略称。夜明け前の空で見える現象で、一筋の光が山脈や雲を照らしてあたり一帯を赤く染め上げること。
どんなに便利な時代になっても、自分の足で進む以外にはたどり着けない場所がある
その次の山行でも懲りずに国内第5位の高さを誇る槍ケ岳(3,180m)へ(本当に怖いもの知らずだと思います)。
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article04.jpg?h=533&la=ja-JP&w=800&hash=7ABA0847694EFEEFE45D3D667061F274)
そうして山に登る理由はずっと変わらず「絶景が見たいから」に尽きるのですが、なぜ山の絶景にこだわるのかは正直自分でもよくわかりません。
ただ山で出会える景色は非日常というか、下界では絶対に見られない景色なんです。もしこだわる理由があればそれなのかな。雲海とか朝日とか一面の星空とか。
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article05.jpg?h=800&la=ja-JP&w=1200&hash=66967D7D696A7A702A342222765B2735)
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article06.jpg?h=800&la=ja-JP&w=1200&hash=7ACF47EB8D68B3B870E89688C911BBC8)
今でもふと思い出すのが、冬の唐松岳(2,696m)。リフトを乗り継いで歩いて向かった山頂はとても気持ちいい快晴が広がっていたのですが、下山したら地上の天気は荒れ模様。雲の上、山頂付近は快晴で気持ちよかったんですけど、雲の中を通り抜けた先、つまり雲の下は全然天気が違って。その時に「(わたしたち)雲の上で遊んでたんだ!」みたいな感動はちょっとありましたね。それに雲海から稜線の先っぽが見えて、そこに人がいたりするのを見るとなんだか嬉しくなるんですよ。
世の中にはいろんな絶景があるけど、山の上だけで見られる景色はどれだけお金を払っても手に入らないじゃないですか。ただ自分の足でコツコツ歩いて辿り着くしかなくて。もしかしたら、それも山が好きな理由なのかもしれません。
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article07.jpg?h=533&la=ja-JP&w=800&hash=F3370837705569C4E15C7AE7CB8CEB55)
登山計画をする時にいろんな絶景を調べますが、そうして予習した写真って結局山の一部分しか切り取られてない。写真だけじゃ伝わらないんですよ。その高さまで登り切ったからこその臨場感や一瞬ごとに表情を変える山の姿は、正直なところその場所に立たないとわからない。だけど、そこで撮った一枚には、頂上に行くまでの辛さとか苦労とかそういう想いも重なってる。わざわざ重い一眼カメラと広角レンズを担いで標高何千メートルの山に登るのは、だからなんでしょうね。
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article08.jpg?h=533&la=ja-JP&w=800&hash=8A16D14F282762BFF93AD2B4892C7031)
実際のところ、山、壮絶ですからね。汗はかくし、トイレのある場所も限られているし。過酷な状況だから人間としての素がでる。その状況でたどり着いた先で撮ることも含めて、なんかぐっとこみあげるものがあるのかもしれません。
些細なストレスを軽減する、自分だけの登山スタイル
登山は命の危険がある分重装備で臨みますが、夏山は案外なんでもいけるんじゃないかなと個人的に思っています。スポーツメーカーから出ているものではなく大手アパレルメーカーのパンツとかシャツとか、(吸水性や通気性などを考えて)綿100%は買いませんがポリエステル100%なら着ちゃいますね。
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article09.jpg?h=533&la=ja-JP&w=800&hash=467038B8E967F826A64E202EA17A6F6D)
靴はずっとローカットシューズ。最初はハイカットのゴツゴツしたのを履いていましたが、なんかずっと慣れないし苦手で。重いし、ストレス。それを何年か前にローカットに変えたらまあ快適で。全然岩場も行けますし、捻挫しやすいとかもないですよ。ハイでもローでもくじく時はくじくと思います。ボロボロになるまで履き潰して、今は2代目ですね。
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article10.jpg?h=533&la=ja-JP&w=800&hash=29585A26D05A98027EBAFEB046040B8C)
山に登る人には分かってもらえると思うんですが、山登りの最中ってちょっとしたことがストレスになるんです。髪の毛一本でも気になる。そういうのを取り除いた結果が今の山登りスタイルになっています。
サコッシュは使わないのもそういう理由から。いわゆる山ガールが身につけているものを絶対に取り入れるわけではなく、自分にとっての快適さが優先。リュックも背負ってカメラかけて、そこにサコッシュもあると人間知恵の輪みたいになっちゃって絡まってわけわからなくなるのがストレスなんですよ。
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article11.jpg?h=800&la=ja-JP&w=1200&hash=3E610BE97730388F68C3F6C765D99707)
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-article12.jpg?h=800&la=ja-JP&w=1200&hash=E01EC05CFFD332D95AB3D947F733E8C0)
そうやって自分なりに工夫を重ねながら、絶景への好奇心を追い続けると言うか……。見たことのない景色があるなら死ぬまでに見てみたい。それが私の山登りのモチベーションにつながっていると思います。(人様に私の山登りについて語るなんて正直ちょっと恥ずかしいのですが)。
編集部注:KAORIさんが登られた涸沢周辺を含む上高地エリア(槍ケ岳を含む)には登山経験や体力、技術に応じた幅広い登山・ハイキングルートがありますが、中には危険を伴う箇所も多くございます。十分なリサーチと自己判断の上お出かけください。また、トレッキングシューズなどのアイテムについても、ご自分の体力や登る山に合ったものをお選びください。
![好きをかたちにするヒント](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/image/hint.png?h=132&la=ja-JP&w=180&hash=61DED1577FED32D4C719435B8239BA17)
山で出会える景色をありのままに残そう
好きなものを飾ったり、写真に残したり、アルバムにしたり。あなたの「好き」をかたちにするアイデアをご紹介します。
絶景と笑顔を写真に残す
山で出会った景色と、一緒に山を登った友人たちの笑顔。どちらも引き立たせる撮影のコツをチェックして、登った人にしか見ることができない景色を写真に残していきましょう。
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-hint01.jpg?h=533&la=ja-JP&w=800&hash=AC5E52C3683FA61407B38F901BEAD5C7)
どこでも気軽に写真を撮ろう
「大きなカメラを持っていくのは大変だけど、山の景色は写真に残したい」というあなたには、カラビナ付きで防水・耐衝撃の性能をもつ小型カメラがおすすめです。
![](/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tozan/image/tozan-hint02.jpg?h=533&la=ja-JP&w=800&hash=59E0B7B8949BE097E59464E9120629F5)
本ページに掲載されている画像、文書その他データの著作権は著作者に帰属します。
また、無断で複製、転載することは、著作権者の権利の侵害となります。