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紅茶と花のある生活。子供の頃からの当たり前の幸せ。

公開日:2022年4月28日

最終更新日:2022年5月25日

Photo : Yoko Atsumi

季節の花と、その時の気分に合った紅茶による華やかな世界観を演出するAtelier junoの渥美さん。紅茶であれば1日に何杯でも飲めることや、図らずも紅茶文化の根付くイギリスに駐在したことなど、半生をお聞きするほど「紅茶の神様がいるならば渥美さんへの特別な加護があるのでは?」と紅茶との縁の強さが伺えます。そんな彼女の語る紅茶のある時間はとても素敵なもの。美味しい紅茶の淹れ方を教わりながら、憩いの時間を過ごしてみませんか。

PROFILE

プロフィール写真
渥美容子(あつみ・ようこ)

Atelier juno主宰、フラワースタイリスト。子供の頃から紅茶に親しみ、本場イギリスにも暮らす。インスタグラムのハッシュタグ「#季節のお花とお茶の時間」を考案し、投稿される紅茶とお花を交えたライフスタイルが注目されている。

紅茶が紡ぐご縁に恵まれて

開け放った窓からふんわりと沈丁花の香りが風に乗って運ばれる、すこし肌寒い春の日。そんな日には、濃い目のミルクティーが体に沁みます。ぽかぽかとした陽気が感じられるようになったら、すっきりとしたストレートティーを。そんな風に誰かのためではなくて自分のために紅茶を淹れる時間には幸せがあふれています。

紅茶とピンクの花

紅茶は、いつから私の生活の一部になっていたのか、もはや思い出せないほど分かち難い存在です。そもそものはじまりは、紅茶好きの母のもとで生まれ育ったことでしょう。実家には外国から輸入された、美しく洗練された紅茶缶がたくさんありました。見事に揃ったアンティークのティーカップを眺め、その魅力的な品で紅茶をいただく時間はまさに宝物のよう。ひとり5、6杯ほど淹れられる大きめのティーポットを用意し、それを飲み終えるまでに家族や友人などとゆったりと過ごす時間はとても大切で、日常の中にあるちょっとした特別でした。

それに、子供の頃からなぜか紅茶だけは何杯でも飲むことができました。ひょっとすると、1日の水分摂取量は水よりも紅茶の方が多いかもしれませんね。何リットルでも飲むことができます。

人生とは不思議なもので、大人になってからもなにかと紅茶と縁深い場所で暮らす機会に恵まれました。紅茶や茶事の本場であるイギリスや台湾に駐在し、さらにはご縁がご縁を呼び、紅茶の生産国として有名なスリランカの茶葉農園にお邪魔することもできました。

紅茶とお茶菓子

今のご時世ではなかなか海外旅行もできませんが、もし機会があったらロンドンのキューガーデンという有名な世界遺産の中にある“The Botanical”というカフェに足を運んでみてください。ここでしか味わえないようなエルダーフラワーダージリンティが爽やかで、忘れられない美味しさなのです。

美味しい紅茶に出会うと銘柄を聞き、必ず買いに走ってしまうのですが、ここで出会った紅茶もとても美味しくて! ここでもお尋ねしましたが、カフェオーナーさんがハロッズ(イギリス王室御用達の老舗高級百貨店のこと)に特注しているものだそう。まさに世界に1杯だけの紅茶、ぜひ味わっていただきたいものです。

美味しい紅茶の淹れ方、それは温度にあり

一方、日本では行き当たりばったりで美味しい紅茶に出会える事はあまりありません(見かける度に「お願い!」という気持ちで注文するのですが……)。往々にして湯温が低すぎて、紅茶本来の味わいが薄く浅くなっているようです。

そこで「日本紅茶協会」の認定店をひとつの目安にすることをお勧めします。ここに掲載されるお店はリーフティーをポットで淹れる正統派。ホテルのティーラウンジから個人経営店まで様々なので目的に応じて使い分けることができます。きちんとしたお店で美味しい紅茶を味わって味の指針を決めると、自分の好きな紅茶が見えてきて面白いものです。

赤いジャムつきのお菓子

自宅でもお湯の温度、茶葉の量、蒸らしの3点をおさえれば、美味しい紅茶を淹れることができます。まずお湯の温度。日本で親しまれる緑茶の湯温は80度前後のすこしぬるめが推奨されますが、紅茶には熱湯を注いであげてください。保温ポットは便利ですが、しばし手間をかけてやかんに水を注ぎ、しゅんしゅんと鳴る音まで楽しんでみるのもいいですね。

茶葉の量はおよそ2.5〜3gが1人分の目安です。人間の目分量はあまり当てにならないので、最初だけでも計量してみてください。それだけでぐっと美味しい紅茶になりますよ。紅茶の大きさや種類にもよりますから目安として。

そして蒸らしを2〜3分ほど。ここで紅茶の旨味などを抽出します。あまり長い時間蒸らすと苦みが出てしまいますから適正な時間で。蒸らし終えたら別のポットに紅茶だけ移し替えると美味しい状態を保つことができます。

カリグラフィーと紅茶

カップに注ぐときは最後の1滴(紅茶の世界ではこれをゴールデンドロップと呼びます)まで注ぎきってくださいね。旨みや渋み、香りを特に感じるとされています。先の過程で別のポットに移し替えるのも、ゴールデンドロップをみんなでシェアする意味合いもあるんですよ。

あとはやはり美味しい茶葉を使うこと。これに尽きます。もとの茶葉が良質であれば多少失敗しても、お湯やミルクを足して美味しく飲むことができますから。

おうちカフェには紅茶と花を

おいしい紅茶が用意できたら、そのおともにはぜひ季節のお花を。春には桜やチューリップ、スイセンやパンジーなどの祝福を感じられる季節の顔ぶれを。夏には花よりも涼しげなグリーン……。

本と紅茶と花

特別な組み合わせでなくてもいいのです、花屋の前を通りかかる時に「素敵だな」と思った花を1輪買って飾ってみることから。花瓶がなければ、ジャムの空き瓶やフチの欠けてしまったカップでも。切り分けられる花であれば、小分けにして3セットをトレーなどにまとめるのも素敵です。

紅茶の種類によって少しずつ茶液の色が違いますからそれと合わせてもいいですね。夏におすすめのニルギリはオレンジ色を帯びたクリアさがありますし、ディンブラはもう少し赤みを帯びた色合いです。ピオニーシェイプと呼ばれる、口が大きく広がって底が浅いティーカップは茶液がきれいに見え、しかも香りが大きく広がって美味しくいただけるのでいいですよ。

ピンクの花と紅茶に添える手
ピンクの花とミルクティー

写真を撮るときにもピオニーシェイプは活躍します。底が深いカップでは、茶液がコーヒーのように黒く沈んでしまいますから。カップの内側に柄があるティーカップはストレートティーの撮影向きですね。ミルクティーであれば、逆に内側が白いものですと美味しそうに感じられます。

Tea LoverではなくTea Addictとして生きる

女性の後ろ姿と猫

紅茶が飲めない環境にあるとなんだか落ち着かない私ですが、海外の友人にそれを話すと「あなたのような人を“Tea Addict”というのよ」と(笑)。直訳すると「紅茶中毒」ということですが私にはこれが可愛い表現に感じられました。紅茶が大大大好きなものですから、これ以上名誉な事はありません。

朝目覚めてから夜寝るまでずっと紅茶を飲んでいる私にとって「なぜ紅茶を好きか」と問われても「もともとそうだから」と答えるほかありません。特別な存在ではないけれどもいつでもそばにある、そんな当たり前の存在です。

好きをかたちにするヒント

ティータイムを心ゆくまで楽しもう

好きなものを飾ったり、写真に残したり、アルバムにしたり。あなたの「好き」をかたちにするアイデアをご紹介します。

紅茶を淹れる瞬間を写真におさめる

いつもよりゆっくりできる休日の朝は、紅茶を淹れて自分をいたわる時間をつくってみませんか。お気に入りのカップに紅茶を淹れる瞬間、きらきらと反射する光をとらえて、紅茶がかおる一枚を残してみましょう。

紅茶を注ぐ写真

好きなものに囲まれて、ほっとする空間を

お気に入りの写真は、プリントして壁に飾ってみませんか。飾り方のコツを参考に、素敵なフレームや小物、お花と組み合わせて、自分だけの癒しの空間をつくってみましょう。

壁にかかっている写真
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紅茶と花のある生活。子供の頃からの当たり前の幸せ。
https://personal.canon.jp/ja-JP/articles/life-style/itoshino/list/tea
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https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/tea/image/thumbnail-main.jpg?la=ja-JP&hash=323A92C9CB4FA6B387E77FF4390B8FD3
2022-04-28