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ラーメン女子を増やしたい! 一生を麺に捧げて、生きる。

Photo : Satoko Morimoto
MV:えびす家(295-0025 千葉県南房総市千倉町千田961-1)

ラーメン女子こと森本さんは日々ラーメンを食べ、考え、学び、伝えています。そんな生活にどっぷりと染まって早18年。その間、女子に特化した女性のためのラーメンイベント「ラーメン女子博」を開催し、ラーメンを美味しく食べるためのダイエット法を考案し、あらゆる切り口から世の女性たちに向けた仕掛けに奔走しています。「ラーメンにまだまだ成長して欲しい」と強く願い祈る彼女の興味はいま、町中華へ。そして、かつてプロフェッショナルたちが専門知識をかけて勝負するテレビ番組「TVチャンピオン」で出題されたような、知られざる歴史や膨大な知識についてしっかり知ってもらおうと奔走する彼女の愛の深さ、とくとご賞味ください。

PROFILE

森本聡子(もりもと・さとこ)

株式会社Ramen Switch代表。ラーメン女子。「女性が1人でもラーメンを食べることのできるカルチャーを広めたい」想いから活動する。

今日も明日もラーメンが食べたい

朝、目が覚めていちばんに考えること。「今日のラーメンどうしよう」。多いときは1日3~4杯のラーメンを食べる生活を18年(!)続けてきましたが飽きることはありませんし、1ミリの負担にも感じたことはありません。むしろ今となっては食べたことのない、知らないラーメンがこの世に存在することがストレスなほどです。

あまりにも人生を捧げているので、普通ではない願望をラーメンに抱いたりもします。「どうか進化を止めないでくれ」と。君のおいしさ、面白さに私の人生かかっているから……「どうか今以上に日本の文化として根付いて欲しい」とさえ思います。

とは言っても、業界内ではラーメンの進化に陰りが見え始めているのではないかという意見が散見されています。あらゆるバリエーションやアイディアが出尽くしたと。

ラーメンの歴史を語らせていただくと、そのはじまりはおよそ100年以上も遡ることになります。それから新しいジャンルのラーメンカテゴリが大幅に増え始めるのが1996年以降。後に名店と謳われる事になる「麺屋武蔵」をはじめとした96年組が誕生したことが転換期となりました。そう考えると、ものすごく最近のことなんですよね。

私が上京した2011年には、菜食中心主義の方向けにヴィーガンラーメンやフルーツラーメンなどをはじめ、聞いたこともないし見たこともない、ましてや味の想像もできないものがありましたが、ここ最近は新しいお店がオープンしてもどこか既視感のあるものが増えてきました。それが「出尽くした」といわれる所以なんでしょう。

もちろんそれに対して「本当にそうなのか」という気持ちと「それじゃ困る」という心からの叫びがあります。まだ掘り起こされていないご当地ラーメンもあるはずですし、スパイスの領域はまだまだ開拓できるとも言われていますから、ここには期待したいところです。

昔ながらの町中華がいま、面白い

そんな中で、最近は町中華の沼にはまっています。ラーメンを追いかけ始めた女子高生の頃の初心に戻って、そのノスタルジーを見直してみようと。それが相当なもので、新ジャンルのラーメンに出会うよりもひょっとしたら深みがあって面白いとまで感じられるのです。なんたって面白さを求める人間ですから、たまらないものです。

皆さん、もしかしたら町中華といえば、昔ながらの鶏ガラだと思われていないでしょうか。それはとんでもない誤解です。町中華の味とそのルーツは、実に千差万別なんです。

そもそも東京近郊の町中華というのはオムライスとカツ丼、カレーライスの三種の神器が揃ってはじめて「町中華」とみなされると言われています。つまるところ町中華を知るにはこの3点を食べなくてはその店の真の魅力に触れることはできません。これらをコンプリートすると、店が目指す味が見えてきます。

もちろん三種の神器を味わったのちには、ぜひラーメンを。鶏ガラスープをベースに一品料理を展開していると生粋の中華料理出身なのかなと想像してみたり、魚介の旨味を動物出汁と上手く調和させている様子を感じれば和食の修行経験があるのかなと考えてみたり……。また初代からはじまり2代目3代目に代替わりしていることも多いですけれども、その場合にはお父様がそういう経験をされていらっしゃったんだろうなとか。

町中華は足繁く通う常連さんのことを大事にしますし、メディアで露出することで新規の人が増えすぎることを嫌がる傾向にあります。ですからあまりしつこくコミュニケーションをとることはしませんが、味わう段階で店が目指す味のことを想い、様々に妄想を膨らますこともすごく楽しいんです。

ラーメン女子の嗜み その1ラーメン好きならではのダイエット

高校時代、ラーメンにハマりはじめてすぐに8キロ増量、好きな人に「太ったね」と言われた経験がありますから、ラーメンが太るものだという実感は誰よりも強くあります。

けれども、ラーメンのおいしさを世の中に知って欲しい、伝えたいという想いがその当時からありましたから、なんとしてでも食べながら痩せなくちゃいけません。そこで決めたのは、スープを極力4口までに抑えること。1口目は吟味、2口目、3口目は麺と一緒に啜ってしまっている分、4口目は最後の確認のため。どうしても「この味だった!」と舌に焼き付けておきたいのです。もちろん、我慢ならなくて全部飲み切ってしまうことも年に1度や2度あるのですが、その場合は他の食事の塩分量を抑えたりしてリカバリーするようにしています。

それから「禁ラー」を設けています。ラーメンを食べに遠征すると、だいたい4キロほど増量しているので、増えた分を元に戻してから食べ始めるということを24、25歳の頃から心がけています。そうしてフラットな状態に戻す期間を「禁ラー」と呼び、だいたい3日間ほど、ラーメン、アルコールを禁止し、夜ご飯はおかゆ等のローカロリー且つ胃に優しいものにするなど食事を制限します。遠征に行けば胃も疲れているのでそれを休める意味でもちょうどいいものです。

ラーメン女子の嗜み その2撮影は自撮りだと思え

私が主宰するラーメンコミュニティでお伝えしている撮影のポイントは、「自撮りに置き換えて撮影してください」ということ。

まずは絶対に影が入らないようにすること。だいたい自分の手や携帯の影が入りがちですから。それからななめ45度で撮ること。自分をかわいくとろうと思ったら、下からのアングルではまず撮らないはずです。ラーメンを真俯瞰から撮る写真も多くありますが、これはSNSの普及に伴いラーメンインスタグラマーたちが綺麗に見せるためのテクニックなんですね。そうではなく、盛り付けられたネギの高さやチャーシューの厚みなど、丼ぶりの柄はななめ45度からの画角がより正確です。ラーメンだって「かわいく」撮れる角度があるんです。

もしなにか迷うことがあれば全部「自撮りだったらどうするかな?」と考えてみてください。

あと、麺リフトはそう簡単なものじゃないんですよね。ちゃんと撮るためには自宅で3ヶ月練習してみてからのチャレンジを。私も、最初は店主様や周りの目線が気になってそわそわしましたし、片手で携帯を持ちながらもう片方で麺を持ち上げるってなかなかテクニカルです。

ラーメンを愛して愛されて

わたしは食べ手として生きると決めています。それに脈々と続いてきたラーメンの歴史や膨大な知識をより多くの人に伝える「ラーメンの広報」として生きるとも。

ラーメンのことを私よりも深く知る人生の先輩方がいらっしゃいます。 一方で、SNSを中心にラーメンを紹介している若い世代もいます。けれども、どちらかは知識を語れるけど届かず、もう一方は届くけれども裏側を語れないといったケースをよく目にします。

ちょうどその間をつなぐ役割として、ポップでライトな「ただ行ってみてください〜!」というゾーンは抜け、ラーメン業界を今まで頑張って支えてきた方々や今頑張っている人たちの歴史を残すみたいなことを、自分はしなきゃいけないなと思っています。

本音を言えば、「女性が1人でも安心して且つ気軽にラーメン店を訪れることが出来る文化を確立する」という目標には達していません。まだまだ私自身の努力が足りてないという自覚もあるので、それが更なる使命感の強さに繋がっているというか。

幸いラーメンを伝えていくという意味においてのステージ作りはこの18年で培ってくることができました。ラーメンを食べてもそこまで太りにくいとか、ある程度量を食べられるだとか、食べたものや聞いたことを記憶して残しておくことだとか。

そういうことも含め、一方通行も無きにしもあらずですがラーメンとは相思相愛だと思っていますし、ラーメンのためならなんでもできるし強くなれる。「34歳になってまだ言い続けているのかよ」と言われるかもしれませんが、ラーメンとは人生のパートナーとしてこれからも共に歩んでいければなと思っています。

好きをかたちにするヒント

美味しいラーメンを記録しよう

好きなものを飾ったり、写真に残したり、アルバムにしたり。あなたの「好き」をかたちにするアイデアをご紹介します。

おいしさが伝わるラーメンフォトを撮る

おいしいラーメンは写真に撮って記録してみませんか。テーブルの模様や光の入り方、色のトーンを意識して構図を考えることで、ワンランク上のラーメンフォトが完成!

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ラーメン女子を増やしたい! 一生を麺に捧げて、生きる。
https://personal.canon.jp/articles/life-style/itoshino/list/ramen
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https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/ramen/image/thumbnail-main.jpg?la=ja-JP&hash=112D0B22E063AC7BED31B8D05719D78D
2022-03-25