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抹茶大好き抹女(!)による、むずかしくない抹茶の愛し方。

公開日:2021年5月25日

最終更新日:2021年5月25日

Photo : sono.matcha

抹茶の世界をのぞくと、なんとも気になるアレコレがたくさんありました。「追い抹茶」に「積み茶」、「うまっちゃーじ」。それから、真の抹茶好きの通過儀礼とされる「抹茶酔い」……?生粋の抹茶好きである抹女(まっじょ)、そのまっちゃさんにお話を伺えば伺うほど、その世界の奥行きの深さにクラクラと酔ってしまいそう。巷にあふれる抹茶スイーツから一歩踏み込み、その滋味深さを味わい尽くすための抹茶の手引き、ここにあり。

PROFILE

そのまっちゃ

抹女(まっじょ)。抹茶をこよなく愛し、抹茶スイーツを日々食べ、学びを深めている。

抹茶酔いは名誉の勲章

私は生まれついての抹茶好き。ですが、さらに拍車がかかったのは社会人になって初めての京都旅行がきっかけ。京都で出会った、素材そのものの旨味、風味、そして鮮やかな濃い緑色が三拍子揃った抹茶スイーツにたくさん出会って、すっかり魅了されてしまいました。

抹茶というのは、質が高いほど旨味が強くなります。この旨味がなにかを説明するのはすこし難しいんですが、特に「玉露(ぎょくろ)」をいただくと強く感じる、出汁に近い味わいのこと。成分的にも、昆布出汁に含まれるグルタミン酸と同じものだそうです。

Place : 三星園 上林三入本店

この旨味の強い抹茶が、とびっきりで。「あらためて抹茶ってこんなにおいしいんだ!」と開眼。京都滞在中にしこたま抹茶スイーツを食べて、それはもう、「抹茶酔い」するほど!「抹茶酔い」とは、旨味成分が強い抹茶ばかりを食べると頭がふわふわしてきて、胃がムカムカして吐き気を催す状態。我々抹茶好きはこれを名誉の勲章のように思っています(笑)。そのときの京都の滞在期間は決して長くはありませんでしたが、少なくとも3〜4回は抹茶に酔い、終始ふわふわとしていた覚えがあります。

飲み比べから始まる抹茶探究の道

すっかり抹茶の新境地に魅せられてからは、今までにも増して抹茶スイーツを巡る日々!「京都に比べると東京の抹茶は格下なんじゃないか」と思っていましたが、そんなことは全くありませんでした。むしろ東京は、良質な素材と斬新なアイディアを組み合わせて面白味のある新鮮なスイーツの宝庫だったのです。東京でも、めくるめく抹茶ライフが堪能できる!とにんまり。

しっかりと数えたことはありませんが、これまでカフェだけでも300店以上、スイーツの種類にして1000〜2000種は食べてきたんじゃないでしょうか。今はお取り寄せできるスイーツやコンビニスイーツも増えていることもあって、うちの冷蔵庫は常時抹茶でパンパン。健康を気にしながら、毎日ちょこちょこと食べ続けています。

Place : Satén japanese tea

最近では、SNSで繋がった抹茶好き仲間たちと食べ比べたり、いろいろと情報を交換したりしていますが、どうも抹茶好きは自然と同じ方向へと向かっていくようで。抹茶のシングルオリジンや茶農園見学、はたまた製茶について学びを深めていくというか……。みんなで日々研鑽しています。

私も同じように、抹茶の歴史の奥深さにも魅せられてどんどんその世界の深みに入り込んでいきます……。そもそも世間一般で流通する抹茶はブレンドが主流で、ブレンドコーヒーと同じように抹茶の原料を産地問わずに混ぜたもの。一方で、ひとつの産地に絞ったシングルオリジンもあります。有名どころでいうと、「さみどり」、「あさひ」、「ごこう」など。機会があって、それらを飲み比べた時に味の差がもう明確に、よく分かったんです。コーヒーと一緒で、一口に抹茶と言っても本当にいろんな味の違いがあると知り、そこから誰が、どんなふうに、どんなところで作っているんだろうと興味が湧いたんですね。

ご縁があって、京都の宇治にある茶農園さんにお邪魔したことがあります。品評会では毎年全国上位入賞、過去には内閣総理大臣賞を受賞されたその道30年以上のベテランの方が大事にお茶を育てる茶畑では、現場でこその学びがいくつもありました。抹茶というのは黄色がかっていない、深く、黒い緑がいい抹茶の条件とされていて、ここで見た碾茶(「てんちゃ」と読む、抹茶の原料です)もそれは見事な深緑で、テカテカと光っていました。これは旨味成分がたっぷり詰まっている証拠です。それを可能にするのは、肥料にたっぷりと有機肥料を与えているから。そうすることで栄養が葉っぱの隅々にまで行き渡り、おいしくなるという考え。ただ与えすぎは茶の木を枯らす原因になるので、そのギリギリを見極めて与えるそう。園主さん曰く、ここのお茶は「フォアグラ(!?)」だと語るほどです。

一方で、福岡にある八女茶の産地では逆に肥料は与えません。土壌そのものに豊富な栄養素が含まれているためで、その分抹茶本来のさわやかですっきりとした味わいを楽しめます。火入れも他の産地に比べて長く、まるでほうじ茶のような香ばしさが感じられるのも特徴のひとつ。

そうした産地ごとの学びを深めるごとに、抹茶好きの議論は白熱していきます(笑)。どこどこがこれこれこういう理由で一番おいしいって。

追い抹茶、積み抹茶、うまっちゃーじ!

抹茶好きならではといいますか、「たまらない!!!」のが「追い抹茶」で生まれる、抹茶のふわふわとした様子。そもそも追い抹茶というのは、いわゆる「追いマヨネーズ」のように抹茶を追加してかけることで、抹茶スイーツを食べて抹茶感が足りない時にストックの抹茶パウダーを茶漉しでかける行為のこと。抹茶は水分を吸いやすく、振りかけてすぐじゃないとふわふわじゃないんですよ。すぐにべちゃっとしてきちゃう。それに粒子が非常に細かい分、時間が経つと静電気でころころとしてきてしまうので、抹茶をかけたその一瞬が一番綺麗なんです。

Place : 中村藤𠮷本店

その一瞬を閉じ込めて、スマホカバーとか筆箱や水筒、身近なものに貼っていつでも眺められるようにしたらハッピーになりそう。たとえば、シールやステッカーにして。追い抹茶のふわふわをマクロレンズでしっかり捉えてそこだけ切り取って、しかも、いつも視界に入るところにあったら、もう「本当に抹茶好きなんだなこの人!」って仲間同士で通じ合うような気もします(笑)。相当コアだなと思いますけど。

抹茶の生クリームも、抹茶がたくさんはいると粒々感が残るので、それもいいですね。生クリームの上に追い抹茶をした結果、抹茶が水分を吸い、ダマとまではいかなくてもバニラビーンズみたいな状態で入り混じってるやつがたまにあるんですよ。それに、抹茶テリーヌのなんともいえないねっとりとした独特の断面図……。よく近寄って、マクロレンズで切り取れたら面白いだろうなあ。

Place : TET Brasserie & Cafe

そんな風に、抹茶の楽しみ方はとにかくたくさんです。もし、本格的に抹茶ワールドに足を踏み入れたいということであれば、まず最初は製茶園や茶農園が運営する抹茶専門店で抹茶ラテを飲んでみてください。シンプルな素材で、他のお店や茶葉との違いを感じやすいと思いますよ。

そして、是非、我々のいうところの「うまっちゃーじ」を体感してみてください!美味しくて、旨味のある抹茶を食べた時に身も心も充電される感じ……。そこからさらに、あなたの抹茶道が続いているはずです(ハマって、家に消費しきれない抹茶やお茶がたまる「積み茶」状態になるのを、楽しみにしています……!)。

好きをかたちにするヒント

大好きな抹茶をかたちに残す

好きなものを飾ったり、写真に残したり、アルバムにしたり。あなたの「好き」をかたちにするアイデアをご紹介します。

茶畑の美しさを撮る

茶畑の美しさが際立つように撮影したいなら、撮影をしに行くタイミングを必ず事前にチェックしておきましょう。

抹茶をいつでも見えるところに

抹茶の写真をステッカーにしていつでも見えるところに貼ったり、抹茶好きとつながるきっかけになるかも。行った場所を手帳にまとめるのもおすすめ!

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抹茶大好き抹女(!)による、むずかしくない抹茶の愛し方。
https://personal.canon.jp/ja-JP/articles/life-style/itoshino/list/matcha
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https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/matcha/image/thumbnail-main.jpg?la=ja-JP&hash=64214213118D85F32DA1246984BD9C13
2021-05-25