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来世はアイスになりたい! シズリーナ荒井さんが語るアイス偏愛人生。

公開日:2022年7月25日

最終更新日:2022年7月25日

Photo : Sizzleeena Arai

ただ「アイスが好き」というだけにとどまらない。アイス研究家であり、イートデザイナーとして食感や食べ頃を追求するシズリーナ荒井さんにとってのアイスとは「来世に生まれ変わりたいもの」! そのために今世ではアイスのことをとにかく調べ、対話していらっしゃいます。時には、食べ頃の温度帯を調べるためソフトクリームに温度計を挿したり、モナカアイスを水分計で測ったり。研究に余念のないシズリーナ荒井さんにお聞きするのはアイスとともに歩んできた半生と、アイスのポテンシャルを引き出すアレンジレシピランキング。乞うご期待ください!

PROFILE

シズリーナ荒井さん
シズリーナ荒井(しずりーな・あらい)

アイス研究家、イートデザイナー。人生で5万個以上のアイスを食べた記録を保持するアイスマニアであり、日本一アイスを愛するスーパーアイスマン。どうしたらより美味しくアイスクリームを食べられるか日々真剣に研究中。

アイスによって育てられ、アイスになるために生きていく

生まれ変わったらアイスになりたい。

けれども、今世ではなることができない。ではどうしようか。来世に望みを託して、今世では「アイスとはなんぞや」という疑問に立ち向かい、ひたすらにアイスを知る。そう決めました。

そもそもアイスって人をハッピーにするものだと思うんです。想像していただきたいのですが、アイスクリームを食べながら怒っている人っていないじゃないですか。怒っている人でもアイスを食べはじめると、なんだか怒りが鎮まってくる。アイスにはそうした鎮静剤のような役目さえあるんです。

私自身、疲れている時や癒されたい時にアイスクリームを食べてきましたから、アイスは人をハッピーにすると思ってきました。そこから転じて、生まれ変わったらアイスになりたい。大学時代の頃からそう願うようになったんですよね。

遡ること37年前、1歳1ヶ月の私は日本中の皆さんがよく知る、棒付きアイスキャンディーこと「ガリガリ君(赤城乳業)」を既に食べていました。そのガリガリとした独特の食感は身体に残り続け、その後も食感に対してこだわりのある子どもになったと親から聞いています。

乳児の頃のシズリーナ荒井さんがガリガリ君を食べる写真

パスタであればアルデンテであるとか、西のうどんは歯応えがあるけれども九州であればやわっこいであるとか、今でも食感に対する感度はとても高いです。だからこそ今のこの私を作ったのは、乳児の頃に食べた「ガリガリ君」だと言っても過言ではありません。

本格的にアイスクリームについて学びを深めはじめていた当初も、食感と美味しさの関係性について調べていました。店頭で絞り出してくれるなめらかなソフトクリームと市販の冷凍庫に保管されて売られるカチカチのアイスクリームと、どうしてこんなに味わいが違うのだろうと。

全国のソフトクリームを食べ歩きながら温度を測った結果、その平均温度はマイナス7度だと気付きました。原材料の違いもほとんど変わりません。だとすると、人間にとって美味しく感じられる違いは温度にあると導き出されます。

温度計でアイスの温度を計測する様子
硬度計でアイスの硬度を想定している様子

アイスクリームのような、冷たいものであれば0〜10℃(温かいものであれば60〜70℃)が適温。いちばんのストライクゾーンはこの温度帯だ、ということがわかったことで、味覚が研ぎ澄まされていくような、素材と対話ができるのはここなんだ、ということも見えてきました。

今でも硬度計というアイスの硬さを調べる計測器や、モナカアイスのモナカがどれだけアイスの水分に侵食されているのかを測る水分計、アイスに含まれる空気量を測るために重量計を使うなど、さまざまな対話方法でアイスに働きかけています。

最近ですと、開発に愛を感じる「クーリッシュ(ロッテ)」に混ぜられた微細氷の粒の大きさの違いを見つけました。もともとアイスミックス(アイスクリームのベース素)の中に、大・中・小3種類の微細な氷の粒があることは顕微鏡で見て確認していたのですが、今月(6月)になって今まで見たことのない大きさの微細な氷が入っていましたので、企業に問い合わせしましたらやはりそうとのこと。

人間と一緒でアイスも日々進化していくんです。なんかそういうの、面白くないですか? アイスを食べるたびに、アイスと対話するたびに、コンディションを知れるというか。人もアイスも一緒ですよね。

シズリーナ荒井さんがアイスをもっている写真
シズリーナ荒井さんがアイスを食べている写真

アイスは断面に美味しいが詰まっている。

アイスを撮影するときの、個人的なテーマは「美術館」。ガラスのように見える置きものはアクリル板で展示台のようにして、そして、白バックでうまくアイスに照明が当たって展示作品のように見える構図にこだわっています。

いろんな装飾物にお金をすごくかけていた時期もありましたが、視線がそちらに吸い寄せられてしまうので、作品に焦点を当てるために引き算の見せ方にシフトチェンジしました。

アイスクリームの写真
アイスクリームのパッケージの写真
  • 「MOW」のパッケージデザインは現在販売されている製品と異なります

暗い部分にもアートがあるというのは、出身校である東京藝術大学で学んだことのひとつです。人間に陰と陽の側面があるように、アートにも白と黒の使い分けがある。そこから、アイスの見せ方に応用したというところですね。

アイスは材料? シズリーナ荒井さん的アレンジレシピランキング。

以前に「どうしてこんなに毎日アイスを食べ続けられるんだろう」と考えたことがありました。そして行き着いたのは「アイスは食材だから」という真理。

アイスは、野菜や果物など素材そのものというよりも、バターなどすこし手の加えられた加工食品に分類されるのではないでしょうか。大まかに言うと、アイスは牛乳、砂糖、卵黄、生クリームでできています。それを踏まえて、世の中の料理事情を見渡すと、この4つの素材が使われている料理って結構あるんですよ。

たとえば、エスプーマカレーうどん。ゼロから作るならばそれなりに手がかかるレシピですが、アイスがあれば簡単に再現可能です。用意するのは「カップヌードル カレー(日清食品)」だけ。そして、それらを混ぜるだけで完成。

雪見だいふくとカップヌードル カレー(日清食品)の写真
  • 「雪見だいふく」のパッケージデザインは現在販売されている製品と異なります

人によっては「え?」ってなるかもしれませんが、これ、アイスアレンジレシピのデビュー作でもあり、自分史上ぶっちぎりの最高傑作なんですよ。500あるアレンジレシピのうち、ランキング堂々の1位です。ぜひ、試してみていただきたい逸品です。

アイスアレンジレシピのデビュー作「エスプーマカレーうどん」の写真

次点を挙げるならば、僕も小さい頃からお世話になっている「ガリガリ君」にそのまま生クリームをかけるアレンジレシピ。もちろん、上品に棒から外してかき氷状にしたものに生クリームをかけてもOK。クリームソーダのような味わいになりますよ。マツコ・デラックスさんにご紹介した際にも、一番美味しいと言っていただきました。

ガリガリ君(赤城乳業)を棒から外してかき氷状にしたものに生クリームをかける様子
アレンジアイスをスプーンで持ち上げる様子

せっかくなのでもうひとつ。ランキング第3位として、最新作の、乳成分の高い「MOW (森永乳業)」のバニラ味をモッツァレラチーズで包んだ「シズリーナ風ブラータ」をおすすめさせてください。

基本的にブラータってチーズ専門店でないと食べられませんがこれであれば、自宅で簡単に美味しいのが作れちゃいます。作り方も簡単です。耐熱容器にモッツァレラチーズとパッケージ容器に入った塩水ごと入れて、レンジで1分半加熱。するとモッツァレラチーズがビヨーンと伸びてきますので、その中にバニラ味が濃厚な「MOW」のバニラアイスを大さじ1程度入れて包むだけ。

めちゃくちゃ美味いですし、バルサミコ酢をかけて、イチゴのスライスなんて載っけたらフルーツカプレーゼみたいな感じでおしゃれにもなりますよ。

アレンジアイス「シズリーナ風ブラータ」

こうしたレシピはもともといい感じで料理をしたいけれどもできなくて、でも失敗せずに簡単に作れたらいいな、という逆算から生まれたもの。

それに、いろんな掛け合わせをすることで、それぞれの食品のファンの方にもアプローチできるので、アイスをより多くの人に食べてもらえたらという狙いも、実はあります。

アイスの嫌がることはしない。相手に寄り添った配慮を。

日々少なくとも8〜12個のアイスを食べていますが、食べる時に意識しているのはアイスに対するマナー。アイスを人のように思っているからこそ、大切にしていることがあります。

それは、電気を消した、なるべく暗いところで食べること。

冷凍庫に入っているアイスって要は冬眠状態なんですよ。それを急に明るいところに連れ出したらアイスがびっくりしてしまいます。ですからなるべく冷凍庫にいたのと同じ状態で、ゆっくり目覚めさせて食べる。それが個人的なマナーだと思うんです。

OHAYO乳業ジャージー牛乳ソフト
LOTTEのクーリッシュ

人に言うと「また冗談を」というように言われるんですが私、根暗で。幼少時代を振り返っても、休み時間にみんなで遊ぶみたいな行為を遮断したくてひたすら勉強していたんです。そうすると「邪魔しちゃいけない」みたいになるでしょう。実際、人間関係って一度壊れたら元には戻らないじゃないですか。そんなわけで、ある意味気を遣いすぎて気疲れしちゃうんです。

アイスも人間と同じで、関係が崩れたら二度と同じ状態に戻りません。一度融けたアイスは、もう二度と同じアイスには戻らないってことなんですが、でも、アイスは裏切らないんです。人間と違って(笑)。

自分にとってはアイスとお付き合いする方が、非常に楽だなと思うんです。アイスを食べると癒されるしハッピーになる。

そんなちょっと偏った人生なのかもしれませんが、来世でアイスになるべく今日も修行に励んでいます。

好きをかたちにするヒント

おいしいアイスを食べて、見て、楽しもう

好きなものを飾ったり、写真に残したり、アルバムにしたり。あなたの「好き」をかたちにするアイデアをご紹介します。

冷たいアイスをみずみずしくおしゃれに撮影してみよう

アイスを夏らしくおしゃれに撮影してみませんか。基本的なテーブルフォトのコツから、簡単にできる涼しげな演出をご紹介。撮影ポイントを参考に、おいしさが伝わる一枚にチャレンジしてみて。

アイスクリーム

飾ってもかわいい!溶けないアイスクリームを作ってみよう

ストロベリーアイスにチョコミント。たくさんのアイスを並べて、お部屋に飾ってみませんか?キヤノンのプリンターがあれば、簡単に手作りできます。パーツの種類が豊富だから、アレンジも自由!ぜひチャレンジしてみてくださいね。

ペーパークラフトで出来たアイスクリーム
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来世はアイスになりたい! シズリーナ荒井さんが語るアイス偏愛人生。
https://personal.canon.jp/ja-JP/articles/life-style/itoshino/list/icecream
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https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/icecream/image/thumbnail-main.jpg?la=ja-JP&hash=48F730BD44CAFCA81481EF37E2A8FA28
2022-07-25