第9回 RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
公開日:2020年11月6日
「RFレンズってどうなのかな?」「いい評判は聞くけど、なかなか手が出ないよね……」と気になっている皆さんのための連載です。フォトグラファー・中西祐介さんが、毎回1本のRFレンズを本気で試し撮り。〈買い〉かどうかを率直に判定します!
今回試すのは、超望遠ズームレンズ「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」。高画質なLレンズで、中望遠100mmから超望遠500mmまでをカバー。それでいて重量は約1370gと軽量(三脚座を除く)というから驚き。さて、その実力は?
中西さん、いかがでしたか?
このRFレンズ〈買い〉ですか?
写真と語り:中西祐介(フォトグラファー)
今回の被写体は、アメリカンフットボールです。大学生の公式戦を撮影しました。試合当日は朝から冷たい秋雨。気温は低く、機動力が落ちてしまいそうな環境でのスタートでしたが、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMが活躍してくれました。
超望遠500mmまでカバーしてくれるのは、本当に便利です。400mmと500mmの差は大きいと改めて感じました。スポーツ撮影では、多くの場合、撮影できるエリアが限られています。その制限を前提に、撮影計画を組み立てるのですが、レンズのカバー範囲が広いため大きな視野で撮影に臨むことができます。
AFのスピードは期待どおり。初動のスピードが速く、激しく動き回るアメフト選手にも正確にフォーカスしてくれます。 手ブレ補正がしっかり効くので手持ちで撮りきりました。
ベンチにいる控え選手をアップで撮影しました。使い込んで傷だらけになったヘルメットの質感が再現できました。写真から伝わってくる力が感じ取れますね。
色の乗りやコントラストも良好。強い雨の中での撮影でしたが、防塵・防滴仕様なので安心して撮影できました。ヘルメットに装着されたマウスシールドの結露を見ると、この日の気温が低いことがわかります。こういう部分の質感表現にも満足です。
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは、繰り出し型のズームレンズ。重量バランスがよく持ちやすいので、機動力を高めてアクティブに撮ることができます。一瞬も目が離せないスポーツシーンでも、集中力を切らさず撮れるでしょう。
この写真は、スタンドレベル(観客席)からの撮影です。やや俯瞰からフィールドレベルではわかりづらい選手の動きをとらえるフレーミングを試すことができます。
500mmよりも寄りたい場合は、1.4倍のエクステンダー「EXTENDER RF1.4x」が便利。これまで大口径の超望遠レンズでなければ撮れないと思われがちなスポーツ撮影ですが、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMで思う存分撮影できます。 スポーツがより身近に感じられる超望遠ズームですね。
RFレンズ用の1.4倍エクステンダー「EXTENDER RF1.4x」。EFレンズ用より薄くなった印象です。RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMに装着した場合、焦点距離300mm以上で使用可能に。スポーツ撮影に持っていて損はないアクセサリーです。
撮影協力:
一般社団法人 関東学生アメリカンフットボール連盟
晴れた日の逆光で、シャボン玉を撮影しました。RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは、スポーツシーン以外の撮影でも積極的に使いたいレンズです。
RFレンズは逆光にとても強いのも大きな特徴です。強い光がレンズに差し込んできてもハレーションが起きにくく、シャボン玉の輪郭や表面の艶も表現できました。風に乗って素早く飛んでいくシャボン玉にも、ストレスなくフォーカスしてくれました。
ミーアキャットが空を見上げている瞬間を一枚。動物園での撮影にもRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは便利です。動物との距離があるシーンでも、アップで表情に迫ることができます。三脚や一脚が使えない場面でも、手ブレ補正機構を生かして手持ち撮影が快適です。
ミーアキャットの毛並みがしっかり描写できました。「その場の空気や温度」まで写し込めるのは、RFレンズ特有の魅力。とても気に入っています。数字上のスペックでは表せないのですが、しっとりと写真にコクを出してくれると感じています。
とても明るく見えますが、悪天候で光量の少ない状況での撮影です。ISO感度設定6400で、シャッター速度は1/80秒。EOS R5装着時は、ボディ内手ブレ補正機構と協調制御することで6段分の手ブレ補正が得られるので、手持ちで問題なく撮影できました。
高感度の撮影ではレンズの力(質感描写など)が試されますが、毛並みの再現などを見ると満足のいく出来でした。ボケ味が柔らかくて好感が持てますね。
私がライフワークにしている馬術競技を題材にした馬と人のポートレートです。総合馬術の日本代表監督と選手の親子を撮影しました。二人の間にある絆と、人馬の間に流れる体温を撮影したいと思いました。
そんな意図で撮影するときは、「温度感」まで写真に写し込めるRFレンズを選びます。ズーム全域で描写性能が優れているRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMなので、大判プリンターでプリントしたくなりますね。
撮影協力:細野光&アップトウユー 細野茂之&レッドアーヴィング(八王子乗馬倶楽部)
乗馬倶楽部の厩舎で撮影。厩舎は私が一番好きな場所の一つです。朝の光が差し込んできて、馬の澄んだ瞳を照らしたところでシャッターを切りました。
向こうで馬を見つめる選手の姿も、大事な題材の一つです。背景が自然で柔らかく溶けたような描写に仕上がっているのも好印象です。
撮影協力:八王子乗馬倶楽部
ジャンルを問わず使えるオールマイティーさが〈買い〉です!
スポーツからポートレートまで、どんなシーンにも持ち出したくズームレンズですね。500mmまでカバーする超望遠の部分が目立ちますが、手ブレ補正や重量バランスのよさ、取り回しのしやすさ、防塵・防滴など、欲しい要素が満載のレンズでした。RFレンズ特有の空気感を写せるレンズでもあります。
その魅力を一言で言うなら、こういうことだと思います。