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第8回 RF800mm F11 IS STM

「RFレンズってどうなのかな?」「いい評判は聞くけど、なかなか手が出ないよね……」と気になっている皆さんのための連載です。フォトグラファー・中西祐介さんが、毎回1本のRFレンズを本気で試し撮り。〈買い〉かどうかを率直に判定します!

今回試すのは、話題の超望遠レンズ「RF800mm F11 IS STM」。重量1,260g、全長約351.8mmという小型・軽量化を実現した超望遠レンズです。プライスもなかなか魅力的。「いままでこんなレンズなかった!」というユニークな一本です。さて、その実力は?
中西さん、いかがでしたか?

このRFレンズ〈買い〉ですか?

写真と語り:中西祐介(フォトグラファー)

EOS R5・RF800mm F11 IS STM・F11・1/1250秒・ISO800
ウインドサーフィンと江の島

話題の超望遠レンズRF800mm F11 IS STM」を持ってウインドサーフィンを撮影してきました。撮影場所は逗子海岸(神奈川県逗子市)。江の島や富士山の眺望が見事なスポットです。

撮影用のボートに乗ってサーファーの近くで撮りたかったのですが、今回は砂浜からの撮影。沖に向かっていく2人が、どんどん小さくなっていく……。「これはまずいな」と思っていたのですが、超望遠800mmの威力は抜群でした。

超望遠の圧縮効果によって、こちらに向かってくる2人の背景に江の島が大きく写り込みました。

RF800mm F11 IS STMはサイズが小さく軽量なので、超望遠なのにラクラクと手持ちで撮影できました。こんな感覚は初めてですね。

EOS R5・RF800mm F11 IS STM・F11・1/320秒・ISO400
作例2 バストアップ

ウインドサーファーが砂浜に戻ってくるところをバストアップでねらいました。機動力が生かせるレンズなので、場所移動がとてもラク。次にこれを撮ろうと思ったら、すぐ行動に移せます。超望遠レンズであることを忘れてしまうほど!

「もっと寄って表情をねらおう」と思い、グッと寄って撮影。4段分の手ブレ補正効果がありますから、どんどん手持ちでいきます。

「本当にこれが800mmなのかな?」と、大きくて重たい超望遠レンズのイメージが覆りますよ。

EOS R5・RF800mm F11 IS STM・F11・1/1000秒・ISO1000
作例3 トビ

上空を見上げると、頭上高くトビが旋回しているのが見えました。肉眼で見ると小さくしか見えなかったのですが、800mmでは羽根の質感がわかるくらいまでアップで撮れました。

EOS R5に搭載された「顔+追尾優先AF」(瞳検出:する/検出する被写体:動物優先)で撮影しています。

RF800mm F11 IS STMでは、AFエリアは狭くなりますが、全てのAF方式が使用可能です。ファインダー内ではトビを追うのが精一杯のスピードでしたが、撮影した写真を見ると、しっかり瞳にフォーカスしていました。

レンズ繰り出し

RF800mm F11 IS STMは、絞りがF11固定のDOレンズ。800mmという焦点距離とコンパクトさを同居させています。コンパクトさの秘密はズームレンズのような繰り出し部分。ロックを解除して繰り出すと撮影可能となり、バッグに収納するときは全長を短くしてロック。これならバッグのサイズを小さくできますね。

超望遠なのに重量は約1260g、手持ち撮影でのバランスも良好。軽量・小型のRF800mm F11 IS STMは、これまでの常識を変えてくれそうなレンズです。

EOS R5・RF800mm F11 IS STM・F11・1/1250秒・ISO400
作例4 踏切

カメラとレンズをぶら下げたまま海岸線沿いを歩いてみました。本当にスナップを撮る感覚です。

見つけたのは踏切の警報機。きらめく海を背景に撮影してみました。海に反射した光のボケ具合がDOレンズらしい独特な形状です。

超望遠800mmならではの圧縮効果で、写真に力強さが宿りました。DOレンズでしか表現できない世界を目指してみるのも面白いかもしれませんね。

EOS R5・RF800mm F11 IS STM・F・1/秒・ISO100
作例5 龍

小田急電鉄「片瀬江ノ島」駅で見つけた金龍のオブジェを撮影しました。持っているレンズがRF800mm F11 IS STMだったのを忘れ、うっかり近くで撮影したときはフレームに収まらず(笑)。何歩も下がって再度撮影しました。

写真を拡大していくと、龍の質感をリアルに再現していました。この仕上がりを見て、「超望遠で小型化した絞り固定のDOレンズは、画質が心配では?」という先入観が払拭されました。

EOS R5・RF800mm F11 IS STM・F11・1/2000秒・ISO500
作例6 茶屋のスナップ

江の島を散策中、通りすがりの茶屋に強い光が差し込んでいるのがとても印象的で、思わずカメラを構えました。バッグにカメラを仕舞わずに、肩から下げて持っていたからこそ「撮りたい!」と思わせてくれたのでしょう。

超望遠800mmというと、スポーツや野生動物、野鳥など、遠くにいる被写体を撮るものという印象でした。でも、RF800mm F11 IS STMであれば、スナップなど、これまで超望遠で描いてこなかった世界で、新しい写真を作り出せると感じました。これもレンズの小型・軽量化の恩恵ですね。

EOS R5・RF800mm F11 IS STM・F11・1/800秒・ISO400
作例7 ランドマークタワー

江の島の展望灯台(江の島シーキャンドル)から横浜方面を撮影しました。100円硬貨を入れる望遠鏡が設置されているような展望スポットです。

向こうに見えるのは横浜ランドマークタワー。ここまではっきりと見えるのかと驚きました。江の島から横浜ランドマークタワーまで直線距離は22km超。超望遠800mmの実力を改めて感じましたね。

最近は展望台などで、三脚や一脚の使用が禁止されていますから、手持ちで撮影できるのはありがたいです。

EOS R5・RF800mm F11 IS STM・F11・1/160秒・ISO320
作例8 江ノ電

せっかく湘南に来たので、江ノ電の線路が見える場所まで歩いてみました。鎌倉方面に走り去っていく江ノ電を1枚。車両全体がフレームに入るように撮ってみました。こちらも手持ち撮影です。

RF800mm F11 IS STMは、他のRFレンズに比べると少しAFの速度が遅いようにも感じられますが、十分に実用的なAF速度でした。

一日中持ち歩いても疲れない常識破りの超望遠は〈買い〉です!

RF800mm F11 IS STMを装着したEOS R5

今回は一日中、EOS R5とRF800mm F11 IS STMを持ち歩きましたが、コンパクトで軽量なレンズのおかげで、まるで疲れ知らず。全カット手持ち、まるでスナップを撮るような感覚で撮影できました。

超望遠800mmというと、三脚や一脚なしではなかなか扱えない重量級のプロ用レンズであり、一部のフォトグラファーのみが使用するものと思っていましたが、それは過去の常識になったようです。

誰でも気軽に超望遠800mmを楽しめる。ここから新しい世界が見えるかもしれませんね。

その魅力を一言で言うなら、こういうことだと思います。

RF800mm F11 IS STMを一言で言うなら「劇的に軽快、画質は上々。うれしい超望遠。」

プロフィール

中西祐介
中西祐介(なかにしゆうすけ)

1979年 東京生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業後、講談社写真部、アフロスポーツを経て2018年よりフリーランスフォトグラファー。

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第8回 RF800mm F11 IS STM
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https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/interview/nakanishi/column08/image/nakanishi08.jpg?la=ja-JP&hash=1812C5CEFF41A54FAB34F05138BC11F5
2020-10-23
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