第1回 RF35mm F1.8 MACRO IS STM
公開日:2019年6月28日
「RFレンズってどうなのかな?」「いい評判は聞くけど、なかなか手が出ないよね……」と気になっている皆さんのための連載です。RFレンズに興味津々のフォトグラファー・中西祐介さんが、毎回1本のRFレンズを本気で試し撮り。〈買い〉かどうかを率直に判定します!
今回試すのは「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」。もっとも買いやすい価格帯のRFレンズですが、その性能は……? 中西さん、いかがでしたか?
このRFレンズ〈買い〉ですか?
写真と語り:中西祐介(フォトグラファー)
まず1枚目から。窓の向こうから入ってくる光がきれいだったので、撮ってみたくなったんですよ。強い逆光なので、収差(にじみ)が心配になったけれど、まったく問題なし。ハイライトの部分までしっかり描写されて、細部まで気持ちのいい写真が撮れている。このレンズで撮った写真は、大きくプリントしたくなるんじゃないかな。
流れ落ちる砂にフォーカスして撮ってみました。ボケがとてもナチュラルで、すごくいい。それでいて砂の部分には、シャープにピントが来ていて。でも、デジタル特有のイヤなシャープ感ではないんですよ。等倍で見ても、気持ちがいい。
とにかくボケとキレの両立が見事!
この写真は、鉱物のブルーに惹かれて撮ったんですが、レンズがいい色を出してくれましたね。
「色なんてデジタル処理でどうにでもなる」と思っている人が多いんだけど、レンズが作り出す色・階調の豊かさがあると思う。RF35mm F1.8 MACRO IS STM は被写体の色を飾らずに引き出してくれるのが、すごくいい。
空高く飛んでいく気球を撮ってみました……というのはウソ(笑)。実は天井からぶら下がっているオモチャです。いかに本物に見せるか、アングルやライティングにこだわってみました。こういうモノを撮るとき、重要なのはレンズの優しいボケ味なんですよね。きれいなアウトフォーカス部分が、見る人の想像力を刺激するはずだから。
猫の毛並みの解像感がすごくないですか? ナチュラルなシャープさで、きちんと質感が出ている。
わが家の猫は、大げさなカメラを出すとハッと目を覚ますんですが、RF35mm F1.8 MACRO IS STMなら、相手に余計な緊張感を与えません。日常が写真になっていく楽しさっていうのかな。取り回しがいいから、身近なものをどんどん撮ってみたくなりますね。
白い背景の中で白い卵を撮影。写真学校の課題で必ず出ますよね? 被写体と光を観察して表現する練習です。卵の表面の質感を表現しながら、輪郭はフンワリとした柔らかいボケに溶かす……。最短撮影距離が短いマクロレンズならではの表現にしてみました。
約5段分の手ブレ補正機構は優秀! 本来は三脚がほしい場面だけど、手持ちでいけましたからね。
バリアングル液晶を見ながら超ローアングルで。ラフなスタイルの撮影でしたが、ピントはばっちり来てます。AFの動作は十分俊敏ですよ。AF頼みで撮っていると「大丈夫かな?」と不安になるものだけど、RF35mm F1.8 MACRO IS STMは問題なし。被写体を追うことだけに集中できますね。
RF35mm F1.8 MACRO IS STM は「マクロレンズ」という位置づけですけれど、マクロにも対応する35mmの明るい単焦点レンズとして持っていたいですね。やっぱり単焦点は写真のキホンなので、Rシステムになっても1本は欲しい。開放F1.8で大きくぼかす、逆に絞り込む。1本のレンズでいろんなものを撮る楽しみを思い出させてくれましたね。
初心者から上級者までおすすめできる〈買い〉の一本!
RF35mm F1.8 MACRO IS STM はフルサイズ対応で、開放F1.8のボケ味が楽しめて、開放でもピントのキレはバツグンで……。風景もマクロも楽しめて、しかも小さくて重量はわずか305グラムでしょう。コンパクトで取り回しがよく、被写体に寄ってよし、引いてよしの万能レンズですよ。
写真を始めたころ初めて手に入れたのは、いま思えばシンプルなカメラでしたよね。レンズは35mmか50mmの単焦点で。でもそれで、何でも撮れそうな気がしたものです。このレンズを使ってみて、初心に帰るような懐かしくもうれしい気持ちになりました。
その魅力を一言で言うなら、こういうことですかね。