収差
収差の原因
ガラスなどを素材とする多面体のプリズムに、光が通過すると虹色に見えます。これは光が物質を透過する際の性質で、物質によって波長(色)ごとの屈折率が異なるからです。レンズでも同じ現象が生じますが、さらに別の問題も。一枚の球面のレンズでは、同じ波長(色)の光でも、光が入る位置により屈折する角度が異なります。結果、光が収束する位置がずれてしまうという問題です。一つの波長(色)でも複数の波長(色)でも、レンズの理想は“すべての光が一点に集まる”ことですが、実際には理想の条件との差が生じることで画質を損なう原因となります。この差を「収差」と呼びます。収差はレンズの性能を測る一つの目安となっています。収差が生じた静止画や動画は、色のにじみ、像の流れ、鮮鋭感やコントラスト不足などの影響が出てしまいます。
収差の影響と対策
主な収差は「レンズ周辺の光束をカットする」=「絞り値を大きくする」ことで改善されます。そのため、収差の目立つシーンでは少し絞って撮影することが効果的な対策です。また、非球面レンズやUDレンズなどは、これらの収差をできる限り抑制するための技術が取り入れられたレンズです。また、光学設計だけの補正だけでなく、小型・軽量化を優先し、電子的な(デジタル処理による)処理による収差補正が前提となるレンズもあります。
収差の影響した写真
収差がある
収差がない