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審査員メッセージ 第58回キヤノンフォトコンテスト

審査員メッセージ(敬称略)

岡本豊

こんにちは。写真家の岡本豊と申します。私はこれまで、様々な分野の写真を経験しました。その経験がみなさまの新たな挑戦のお手伝いになればと思っています。挑戦は、ただ技術を競うだけではありません。自分の感じたことを表現する力が試され、自分自身を深める機会でもあります。一瞬一瞬の美しさや感動を大切にして、写真に表現する。それが他の人の心を動かし、視野が広がるきっかけになることもあります。コンテストでは、一番になることを目指すだけではなく、自分自身の成長や人との出会いがあります。それが、写真をさらに深めるきっかけになると思っています。写真が好きな人が集まり、学び、刺激を与えあい、一緒に成長する場。それがこの場所です。挑戦をためらわずに、自分自身を表現してみてください。みなさまが生み出す新たな視点を楽しみにしています。

津留崎健

写真の狙い方には大きく分けて二通りがあります。一つは、風景写真のように自分のイメージに合いそうな被写体を決めたら、季節と場所、時間帯などを調べて段階を踏みながら最上の光景に近づいていくやり方。二つ目は、街中でのスナップ写真のように予測していないような思いがけない瞬間の美にカメラを向けるやり方。双方ともその過程がまさに写真の醍醐味です。楽しみながら写真を撮る、これが一番の向き合い方です。
写真を撮っているとあれやこれやと悩んでしまいますが、それも醍醐味の一つとして考えましょう。その時は、迷うことなく原点に戻ることを試みてください。なぜ、自分はこの場所でこの光景と対峙しているのか、何が自分の心を動かしているのか、今一度振り返ってみてください。なるべく視野を狭くせずに「被写体賛歌」の気持ちを持って挑めばきっと素晴らしい作品が生まれるはずです。

野村佐紀子

美しい瞬間や新しい発見、感動や迷いや、悲しい事、嬉しい事、大切な事、耳を澄まし目を凝らし、カメラを持つと見えてくるあなたの世界を見せてください。
私には見えない世界に出会えますように。
たくさんの写真をお待ちしています。楽しみです!

ハービー・山口

「写真を審査する時のポイントは?」とう質問に、私は①テーマ性、②個性的な表現力、③仕上げの完成度に注目しますと答えます。
作者が何に感動し解釈したか、それを自分なりの写真に落としこめたか、そして愛情をもって丁寧に仕上げているかです。しかし、これの3点は審査に限ったことではありません。
私の写真家としての50年を振り返れば、常にこの3点を自分の人生の基軸に据えて育ててきたと実感します。
私たち一人一人の心が何にグッときて、その感情をどういう手法で表現するか、そして満を持しての発表。こうしたことに挑戦することで人生の喜び、価値が生まれてきます。
皆様の個性豊かで熱い作品をお待ちしています。

望月孝

写真は、今や我々の生活の至る所に存在しています。スマートフォンの普及やデジタルカメラの進化により、誰もが手軽に写真を撮影し、共有することができるようになりました。これまでプロだけが手がけてきたような難しい撮影も、技術の進歩によって一般の人々にも可能となり、写真の世界はますます多様化しています。
写真には、被写体を捉える独自の視点が重要です。同じものでも、撮影者の視点や感性によって写真は全く異なる表情を見せます。これを「写真の切り口」と呼びますが、それが写真の魅力の一つでもあります。鳥や虫、魚のような独特の目線から捉えた写真は、我々の目に新たな世界を開かせます。
このコンテストでは、参加者の個性が存分に発揮されることを期待しています。技術だけでなく、独自の視点や表現力を駆使して、新たな視点から世界を見つめ直す写真をぜひ応募してください。皆さんの力強く、個性豊かな写真作品を楽しみにしています。

藤代冥砂

写真は気軽に撮れるものです。そしてWEBなどで気軽に見せ合えるものです。フィルム時代は、ポジフィルムやネガからのプリント、印刷物を通してしか他の人の作品を見ることができなかったのですが、今は撮影した瞬間から世界中の人に届きます。それは写真に新しい可能性を開きました。誰もが同じスタートラインに立っています。個人的にそれはとてもフェアなことだと感じています。誰もが表現者であり、誰もが自由に多くの世界を覗ける鑑賞者でもあります。そういう状況で人の心を動かせる力を持った写真というのは、最終的にには撮影する人の写真への強い思いだと考えてます。平凡ですが、本当のことは普通のことだったりします。たくさん撮って、自分の写真をたくさん見つめること。これが一番の近道だと思います。